2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530853
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
堀田 香織 埼玉大学, 教育学部, 教授 (10251430)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 里親養育 / 虐待 / 里子支援 / 学生派遣 / 家庭訪問 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童相談所との連携のもと、被虐待経験をもつ里子を養育する里親家庭に、大学院生・大学生を家庭教師・遊び相手・話し相手として派遣しながら、里親家庭における里子の成長プロセスとその間の学生派遣の意味と課題について考察することを目的とした。特に、問題行動が表面化し里親が対処に困りやすい、学童期から思春期の里子とその里親を主な対象とした。 高校3年生までの里子10名のもとに学生が通い、大学では毎週カンファレンスを行った。また、支援開始当初と、各年度末に里親へのインタビュー調査を行い、里子の成長と学生派遣について聴き取り調査を行った。 聴き取り調査からは、里子の抱える問題状況(里親家庭のルールをめぐる里親と里子の葛藤、里子の不登校、学校での孤立・荒れなど、学校適応上の問題、里子の症状、実親との不安定な関係など)が明らかとなった。その後の里子の成長に影響を与える家庭内の要因としては、里親との愛着関係の安定、養子縁組の決断、実親との関係の明確化、新しい里子を受け入れることによる家族関係の変化、問題状況における里親養育の限界設定の明示などが考えられた。この間、学生との間で1対1の関係を維持することは、特に、同性代の子どもとのコミュニケーションが難しい場合、発達障害を有する場合などには有効なものになった。児童期の子どもたちは学生より優位に立とするような行為、思春期の子どもたちにはアンビバレントな行為が見られたが、その中で、学生は男性モデル・女性モデル・規範モデルとして機能し、登校・受験などの焦りや不安を受け止める存在、進路決定や自立に向けてのアドバイスをする存在として機能した。また、学生にとって、里子の成長を間近に見ることは大きな意味があったと考えられる。課題としては、里親さんの負担感、1対1の担当制のメリットとディメリットが考えらえた。
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