2014 Fiscal Year Research-status Report
筆記表現法の応用可能性:退職勧奨者の再就職支援プログラムの開発
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24530857
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大森 美香 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (50312806)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 筆記表現法 / 退職勧奨 / 失業者 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆記表現法(Expressive Writing)は、Pennebaker(1989)により開発された介入方法である。ストレスフルな出来事についての考えや感情を20~30分程度、数回にわたり筆記する方法で、身体的健康や情動愁訴の減少 (Greenberg et al., 1992; Pennebaker et al., 1990)、喘息患者やリューマチ性関節炎患者の症状の緩和 (Smyth et al., 1990)、対人関係の向上(Lepore et al)への効果が明らかにされている。本研究では、予期せず退職勧奨を受けた者を対象とした再就職支援に対する筆記表現法の応用可能性を検証することを目的として行われるものである。 平成26年度は、筆記表現法の応用可能性の実査として、大学新入学生の適応に対する筆記表現法の実証実験を行った。平成25年度に実施した実験を平成26年度年度当初に実施し、最終的に61名の参加者を得た。 さらに、退職勧奨などにより失業状態にある個人の失業に対する態度や求職行動、メンタルヘルスの実態を把握するため、400名の失業状態にある方々を対象にオンライン調査を行った。調査対象者の約7割は、過去3ヶ月間に求職を行っていないことが明らかになった。これら求職行動を行っていない個人の心身の健康および失業に対するスティグマが、職業意欲や求職に関するサポートと負の相関を示すことが明らかになった。この調査結果の詳細を、2015年に開催されるヨーロッパ健康心理学会にて発表の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の目的は、退職勧奨を受けた人々に対し筆記表現法を試み、自助的にネガティブな経験を解決する方法を開発することにあった。平成25年度までに、研究協力者らとともに人材開発事業を行う民間企業と勉強会の機会をもち、退職勧奨を受けた人々やその再就職支援の実態について検討を重ねた。その結果、退職勧奨など非自発的失業状態にある人々の求職活動についての実態が十分に明らかになっておらず、その実態の解明が優先されるべきであるとのことから、平成26年度には調査を行い、その実態の一部を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度までの成果をヨーロッパ健康心理学会において発表する予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果の発表の機会として、2014年度中に該当する学会がなく、2015年度に開催される学会で発表するのがよりふさわしいと判断されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヨーロッパ健康心理学会参加費および外国旅費、データ分析のための謝金
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