2015 Fiscal Year Annual Research Report
知恵と社会的適応を育み心理・行動上の問題を予防する持続可能な心理教育に関する研究
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24530870
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安藤 美華代 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60436673)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理教育 / いじめ / 抑うつ / 不安 / 自己理解 / 他者理解 / 自己効力感 / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は当該研究テーマの最終年度となるため,これまでの心理教育“サクセスフル・セルフ”を活用した実践研究をまとめて分析し,成果と今後の展望を見いだすことを試みた。 児童生徒向けの実践のうち初年度の実践学級(小学校38学級,2341人;中学校15学級,2013人)を対象に,いじめ行動の変化についてメタ分析を行った。その結果,小中学校とも減少の方向に効果量の変化が見られ,特に小学校では有意な変化が見られた。児童生徒のいじめ行動を減少させるには,少なくともいじめに関連するシナリオを活用して対処と解決スキルを育むセッションを行うこと,本心理教育の核である自己理解,人間関係,困難な状況への対処と解決をテーマとしたセッションを網羅し,年間4セッションを行うことが望ましいと考えられた。また,全校で継続して取り組んだA小学校の学級担任28人の実践に関する174の感想を質的分析した結果,本心理教育の主旨から外れないようにかつ児童生徒の実態に合わせていくことが,実践の充実につながることが示された。 医療従事者を対象とした実践については,B総合病院において心理教育“サクセスフル・セルフ”を行った。プロセス評価に基づく改訂を4年間重ねることで,多職種新人医療従事者向けとして実施可能な教育・支援活動となった。ブースターセッションを設けた3,4年目では,心理的負担感による休職は認められなかった。この4年間の評価期間の各年度に入職した1年目の新人医療従事者85人の心理社会的側面の変化について検討した。その結果介入前後の変化としては,「社会性」「対人関係に関する自己効力感」の向上が見られた。さらに3年目以降の群では,「緊張-不安」の減少も見られた。本取り組みは,新人医療従事者の心の健康や対人関係能力を保持増進し,多職種チームで連携力を育む機会となったと考えられた。
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Remarks |
【ワークブックの作成】安藤美華代(著).“サクセスフル・セルフ”ワークブック チーム医療と人間関係力Up!(総ページ数 52) 岡山大学安藤美華代研究室.ISBN978-4-9908256-0-7 C3011 (非売品).2015年. 【実践例】岡山県内の小中特別支援学校,東京都の中学校,鳥取県の小学校から,心理教育“サクセスフル・セルフ”の実践を行っていることが報告された。
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