2013 Fiscal Year Research-status Report
児童に対する抑うつ予防プログラムの効果と中学校進学後の維持効果の分析
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24530878
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佐藤 正二 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (30107205)
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Keywords | 子どもの抑うつ予防 / 社会的スキル訓練 / 認知的再構成法 / ユニバーサル予防 / 自動思考 / 認知の誤り |
Research Abstract |
昨年度(H24年度)に小学6年生を対象にして、社会的スキル訓練と認知的再構成法からなる認知行動的なユニバーサルタイプの予防プログラムを実施した。その結果、本プロフラムで教えられた社会的スキル(断り方スキル、頼み方スキル)に有意な介入効果が認められた。また、認知的再構成法の効果を明示する「認知の誤り」得点、自動思考得点にもポジティブな結果が示され、抑うつ得点は、介入前から介入後にかけて有意に低減した。 そこで、本年度(H25年度)は、対象児が中学1年生に進学した後に、上記の有意な介入効果が維持されるかどうかを検討した。対象児が小学6年生の時点で本プログラムを終了した後、およそ6ヶ月が経過した時点で、フォローアップ査定が実施された。その結果、(1)フォローアップ査定の時点では、抑うつ得点と認知の誤り得点において、介入群と統制群との間に有意差が認められなかったが、(2)社会的スキル(断り方スキルと頼み方スキル)とネガティブな自動思考得点には有意な維持効果が見出された。 このことから、小学6年生の時点で見出された抑うつ低減効果は、統制群と比較すると、中学校に進学したのちには有意な維持効果を持ち得ないことが明らかとなった。しかし、社会的スキルや自動思考といったプログラム介入要素は確実に維持されていることから、介入要素と抑うつとの関連性を明確に伝えるブースターセッションが設定されれば、学校種を越えた抑うつ低減効果が期待できると考えられた。 また、本年度は、小学4年生を対象とした抑うつ予防プログラムが実施された。このプログラムの効果は、来年度(H26年度)に実施される1年後のフォローアップ査定と併せて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、小学6年生を対象に実施され、その効果が実証されたユニバーサルタイプの抑うつ予防プログラムの効果を、本年度は、中学1年生の時点でフォロイーアップ査定した。その結果、小学6年生の時点で認められた抑うつ低減効果が、中学1年生の時点では有意な効果とはならなかった。しかし、本プログラムの介入要素の効果を明示できる社会的スキルと自動思考の得点に有意な維持効果が認められたので、メンタルヘルスの向上をめざす本研究の目的は一部達成されたと言える。今後、介入要素と抑うつとの関連性を明確に伝えるブースターセッションの設定などを検討する必要がある。 また本年度のもう1つの目的であった小学4年生を用いた抑うつ予防プログラムも予定どおり実施することができた。フォローアップ査定の実施を含めて、来年度に効果の検討を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、平成25年度に実施した小学4年生に対する抑うつ予防プログラムの効果を小学5年生の時点でフォローアップ査定し、介入効果の検討を進めると共に、小学6年生で実施され、中学1年生でフォローアップ査定した前研究と比較する。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Effectiveness of a school-based depression prevention program for Japanese adolescents2013
Author(s)
Ogata,A.,Togasaki,Y.,Ishikawa,S.,Sato,H.,Sato,Y., & Sato,S.
Organizer
The 4th Asian Cognitive Behavior Therapy (CBT) Conference 2013 Tokyo
Place of Presentation
平成帝京大学
Year and Date
20130823-20130824
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