2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530879
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中原 睦美 鹿児島大学, 臨床心理学研究科, 教授 (80336990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 更年期 / 語り / 心理支援 / ロールシャッハ法 / 事例研究法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、更年期通過群(含非経験群)・経験中群・未経験群を対象に更年期をめぐる語りの分析を通して更年期に特有の心理状況を明らかにし、女性の健やかな生涯発達への心理支援を模索することを目的に着手した。方法は、3群の対象者(更年期通過群13名、更年期中群16名、更年期未経験群6名)計35名に対する、個別にインタビュー及び心理査定(クッパーマン更年期障害指標、NEO-ffi、樹木画検査、ロールシャッハ法)を実施し、分析を行った。 その結果、更年期通過群及び更年期中群の語りから得られた更年期症状の内容や辛さ、対処法などは先行研究と合致していた。新たに本研究では「他者からの理解・共感の必要性」及び「他者とのつながりの重要性」という知見が得られた。さらには、更年期の心身の症状は、自覚的な人にとっては「いつもの自分と違う」などの新たな葛藤を抱えざるを得ないことが語られ、それが更年期症状以上に当事者にとっての心理的負担感を増幅させていることが推察された。また、ロールシャッハ法では、身体的関心反応が未経験群を含む88.6%に見られ、必ずしも臨床群でなくとも頻発する反応であることが確認され、その意味を検討することの重要性が示唆された。さらに語りとロールシャッハ法の表れには関係性があることが事例研究では確認された。 研究成果は、語りの側面から日本心理臨床学会にて2本発表を行い、日本ロールシャッハ学会にて事例研究及び身体的関心反応の検討で2つの発表を行った。1本は論文投稿中であり、他も投稿を準備中である。さらに、学会発表をもとに、『更年期をめぐる語りとその支援(99頁)』及び研究協力者用の報告書『更年期をめぐる語りとその支援(37頁)』の2冊を刊行した。今後は、若年者層のデータをさらに集め検討を深め、男性側から見た女性の更年期の捉え方や男性における更年期に関する研究を発展させる予定である。
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