2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530886
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
森 丈弓 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (00512154)
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Keywords | 再犯リスク / リスクアセスメント / 生存時間解析 / 再犯分析 / 犯罪・非行 |
Research Abstract |
本年度は、法務省富山少年鑑別所にデータ収集の依頼を行い、非行少年のデータを追加収集することが可能となった。昨今、非行少年の研究用データを利用することが困難な中で、富山少年鑑別所の協力を得られたことで、リスクアセスメントツールの信頼性、妥当性を高めることが可能となり、研究が大きく進展したと考える。富山少年鑑別所のデータを加えた分析は、日本犯罪心理学会第51回において、「3Gリスクツールによる非行少年のリスクアセスメント(5)」として発表した。 臨床家の予測が加わることで、リスクアセスメントの精度を高められるかどうか、という近年のリスクアセスメント研究において注目されているトピックスがあるが、これについて追加分析を行い、臨床家の予測が増分妥当性を持たないことが検証された。この結果については、日本犯罪心理学会第51回大会において、「臨床家の再非行予測はリスクアセスメントツール増分に寄与するか?」として発表した。 また、リスクアセスメントツールの信頼性及び妥当性を検証した分析結果について、査読付き欧文雑誌であるLaw and Human Behaviorに「A cross-validation of the Youth Level of Service/Case Management Inventory (YLS/CMI) among Japanese juvenile offenders」というタイトルで投稿を行い、掲載された。このことで、非行少年サンプルを用いたリスクアセスメントが、我が国のデータにおいても適用できること、我が国のリスクアセスメント研究が欧米と同等の水準にあることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回新たに富山少年鑑別所の協力を得られたことで、新しいデータを入手することが可能となり、これによって作成されたリスクアセスメントツールの信頼性及び妥当性を高めることができた。 また、得られたデータを新たな視点で分析することにより、現在、リスクアセスメント分野において注目されているトピックスの一つである臨床家予測の増分妥当性に関する検討を行うことができたことは、研究の進展があったと評価できると考えている。 さらに、分析の一部を査読付き欧文雑誌に投稿し掲載可となったことは、今回の大きな研究成果の一つとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらなる分析データ収集として、千葉少年鑑別所での追跡データを得るよう働きかけを行っていく。これについては、現段階で、先方施設との協議の結果、概ね了解が得られつつある状態であり、更に綿密な説明を行い、理解を求め、追跡データを入手して分析を進めたいと考えている。 また、家庭裁判所調査官に対する共同調査の申し入れを行っていくことを考えている。司法の枠組みにおいては、これまでもアプローチを続けてきたが、残念ながら必要なデータを入手することができなかった。現在、研修講師等の機会を通じて、研究の必要性、重要性を司法機関に訴えているところであり、継続して理解を求める活動を行い、司法領域の情報を得て分析を進めることができるよう活動していく。
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Research Products
(3 results)