2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会不安障害に対する日本の文化的特徴を組み入れた治療方法の検討
Project/Area Number |
24530890
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
毛利 伊吹 帝京大学, 文学部, 准教授 (20365919)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会不安 / 社交不安障害 / 対人恐怖 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知行動療法は、1960年代にアメリカで誕生した心理療法であり、日本では2010年に認知療法・認知行動療法の診療報酬が認められるなど、精神科領域をはじめとして広く普及してきた。日本における認知行動療法が利用者にとってより良いものとなることを目指し、本研究では、主に社会不安障害について、日本の文化的特徴を組み入れた治療法開発につながるよう、「他者の心への配慮」という認知に着目して検討を行ってきた。 かつて近藤(1964)は、社会からの配慮的要請(相手に気を遣い配慮するという心遣いの要請)が、対人恐怖と関連すると指摘した。これまでの研究(毛利,2012; Mohri,2013)により、現代においても、「他者に気を遣う」という認知を大学生が有していること、ならびにそれが社会不安と関連することが示唆された。 ところで、他者への配慮は「思いやり」などとも関係する、肯定的と理解される側面も併せ持っていると考えられる。よって、他者への配慮が社会不安と関連する面を有しているにせよ、社会常識として広く受け入れられているという点を踏まえて、認知行動療法でその認知をどう扱うかを考慮することも重要である。そこでさらに、「他者への配慮」にまつわる認知(配慮を行う理由等)について検討を行ったところ、「他者に自分が悪く思われたくないから」など自己防衛的な理由と社会不安とが関連するという示唆が得られた。今後は、この知見を臨床実践に取り入れ、その効果を検討することが求められる。 現在、これらの研究成果を論文として発表するよう、準備を進めている。
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Research Products
(1 results)