2013 Fiscal Year Research-status Report
「司法臨床」の展開に関する実証的研究―弁護士と臨床心理士の協働をもとに―
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24530896
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
廣井 亮一 立命館大学, 文学部, 教授 (60324985)
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Keywords | 司法臨床 / 弁護士 / 臨床心理士 / 情状心理鑑定 / いじめ / 体罰 / 暴力 |
Research Abstract |
25年度は主に、本研究のサブテーマである「弁護士と臨床心理士の協働」に焦点をあてて研究を行った。 具体的には、昨今の我が国の社会問題になっている、「いじめ問題」「体罰問題」「子どもの暴力問題」等を取り上げ、本研究の協力者である3人の弁護士が実際に担当した事件を詳細に検討した。その結果、それぞれの事件に対する法的関与のメリットとデメリットがあり、それを補完して適切な解決につなげるものが臨床的アプローチであることが明らかになった。その報告は、筆者と各弁護士との共著で、「児童心理」(2013年9月号~2014年1月号まで)で短期連載として発表した。 もう一つの研究実績としては、昨年度の報告で研究の推進事項にした「情状心理鑑定」について具体的に鑑定事例をもとに検討した。その結果、刑事裁判において臨床の知見を取り入れることによって、不可解な犯罪動機が解明され、さらに被告人の更生の方法に資することが明らかになった。その報告は、平成25年度日本弁護士連合会近畿地区弁護士夏期研修で講演したほか、著書論文(『法と心理学』2013年9月)としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の予定、特に前年に示した「今後の研究の推進方策」について、著書、論文、発表等で具体的な成果になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本研究の最終年であるから研究の総まとめと研究成果の発表を行う。具体的には、本研究の協力者弁護士と臨床心理士によるシンポジウムを実施して、3年間の研究実績を踏まえながら「司法臨床」の有効性と今後の展望と課題についてまとめる。 また、「司法臨床」に関する新たなテーマとして、深刻化するストーカー問題への法と臨床による解決策の研究、法と臨床の協働が低下する家庭裁判所の問題にも着手する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、予定していた海外調査を実施できなかったためである。被調査側と研究者側の日程が調整できなかったことによる。 本件のまとめの年になるので、研究成果の発表、出版等に使用したい。併せて、予定している海外調査を実施したい。
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Research Products
(12 results)