2013 Fiscal Year Research-status Report
認知行動療法プログラムの開発およびそのエビデンスの多次元的検証に関する探索的研究
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24530897
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
鶴田 英也 神戸女学院大学, 人間科学部, 准教授 (60346096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 津岐子 梅花女子大学, 心理こども学部, 教授 (20259401)
実光 由里子 梅花女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30585740)
森本 美奈子 梅花女子大学, 心理こども学部, 准教授 (70388601)
岡本 智子 梅花女子大学, 心理こども学部, 准教授 (70634632)
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Keywords | 認知行動療法 / バウムテスト / CBTプログラム / エビデンス / スタッフ養成システム / 治療関係 |
Research Abstract |
平成25年度は昨年に引き続き、梅花女子大学付属心理・教育相談センター豊中本室において実践中のCBT(認知行動療法)プログラムの改良を中心に研究実践が行われた。加えて、勉強会・事例検討会、学会発表、スタッフ養成システムの構築も積極的に進められた。 まずプログラムは、昨年にフォローアップの回数を追加したことの効果をみた。8回・16回の回数制限のあるプログラムに2回(1週間後と3ヶ月)を追加したが、プログラムの定着の程度を確認するうえで十分であると判断された。また、うつ病のクライエントだけでなく他の疾患(パニック障害、強迫性障害)についても対応できるようプログラムに修正を加えた。さらに、現行ではプレ-ポストテストとしてバウムテストを実施しているが、効果測定をより確かなものにするために、DACS(否定的自動思考尺度)およびSF36v2(健康関連QOL評価尺度日本語版第2版)を追加した。 事例検討会は、クライエントに毎回実施しているCES-D(抑うつ状態自己評価尺度)の変化とバウムテストの分析を中心に、9月と1月の2回(終結6事例)行った。質問紙であるCES-Dスコアには急激な変化はみられないものの、投影法であるバウムテストには明らかな変化がみられるケースも多く、一定の治療効果が得られていると判断できる。事例検討会で報告された事例の一部は、心理臨床学会にて発表され、参加者からは今後の研究につながる有益な知見を得られた。 スタッフ育成を目的とした研修は3年目を迎え、実践担当スタッフが新規参入スタッフの研修にあたっている。研修をスタッフが担当することで、理論や技法がより深く確実に理解できることからスタッフにも好評である。研修プログラム内容も充実してきており、計画通り、養成プログラムとして構築されることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究目的は、第一に改良・開発したプログラムを実施し、臨床データを収集することであった。第二にうつ症状以外の症状(パニック症状、強迫症状など)を軽減するプログラムの開発、第三にプログラム実施前後に行う質問紙の選定と追加実施であった。 臨床データの収集は順調である。また、フォローアップ時期を1か月後から1週間後と3か月後の2回に変更することで、CBT実践によるクライエントのセルフコントロール力への定着の有無が確認できるようになった。また、2回のフォローアップ時にもバウムテストも行い、より幅広く効果を測定できるようになった。第二のうつ症状以外のプログラム開発については、パニック障害に対応するプログラム、強迫性障害に対応するプログラムはほぼ完成に近づきつつある。第三の追加で実施する質問紙については、選定が終了し、DACS(否定的自動思考尺度)とSF36v2(健康関連QOL評価尺度日本語版第2版)をすでにプログラム前後、およびフォローアップ時に導入している。DACSでは、うつ特有の(もしくは他の障害により二次的に否定的になりがちな)思考の変化を確認することができ、SF36v2では、クライエントの生活の質を自覚できる。質問紙をクライエントとともに確かめ合うことで、担当スタッフだけでなくクライエントが、自分自身の変化を認識できることも目的のひとつである。 CBTプログラムに直接関係することだけでなく、スタッフの養成や成果を発表することも研究計画の二本目の柱である。CBT実施スタッフ養成に関しては、研鑽を積んだスタッフが新人スタッフを研修するという、スタッフによるスタッフのための養成システムが構築されてきている。また、研修会参加や研究成果を学会(心理臨床学会)で発表するなど、積極的に研究に取り組んでいる。以上の内容から研究計画は、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本研究の集大成となる年である。そのため、推進方策として研究成果の公表を主たる計画とする。CBT実践スタッフは、終結ケースを学会もしくは論文として公表する予定である。第二に、エビデンスの観点から、改良を重ねた現行のプログラム(8回・16回)が有効であったかを検証する。第三に、CBTスタッフの養成システムを確立する。養成システムの一環として事例検討会(年2回)や勉強会(月1回)を継続することを挙げる。 研究成果の公表については、6名が今年度の日本心理臨床学会での発表の申込みを済ませており、他の3名が紀要に論文を発表する予定である。CBTプログラムの実施は今後も継続して行うが、9月頃をめどに終結事例を集計する計画である。このとき、プレ-ポストで行った質問紙、バウムテスト、CES-D、アンケート(期待度、満足度)を分析し、プログラムの有効性について分析を行う。また、よりよいプログラムを提供するためには、セラピストの技能を向上させることが不可欠である。そして長期にわたり自主的に運営していけるスタッフ養成システムを確立させたい。 研究を遂行する上での課題は、プログラムの実施と改良に欠かせない実施ケースの確保である。特に、うつ症状を呈するクライエントのみならず、他の症状にも有効なプログラムの開発には、多様な症状をもつクライエントに実施する必要がある。CBT実施場所である梅花女子大学付属心理・教育相談センターでは、基本的に、CBTを希望して来所したクライエントにのみ実施している。しかし、CBTを希望しない、もしくは実施していることを知らないクライエントの中にも、CBT実施が有効であろうと思われるケースがある。こうしたクライエントにCBTプログラムを紹介するパンフレットを作成し、初回面接時に提供する予定である。このパンフレットは、すでに実施スタッフとも検討を重ねており、導入間近である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究も予算執行もほぼ計画通りに進められたが、次年度使用額が生じた理由を強いて挙げるとするなら、著名な認知行動療法家や心理療法家などを特別講師として事例検討会や勉強会などに招聘することが、スケジュール調整などの理由からできなかったことが挙げられよう。 よって26年度は著名な認知行動療法家や心理療法家を招いた事例検討会や勉強会、あるいはシンポジウムなどを実施する予定である。
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Research Products
(2 results)