2012 Fiscal Year Research-status Report
外見関連患者サポートプログラムの有効性の多面的検討に関する研究
Project/Area Number |
24530903
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamano College of Aesthetics |
Principal Investigator |
野澤 桂子 山野美容芸術短期大学, その他部局等, 教授 (30469449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 千佳子 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (10399462)
今野 裕之 目白大学, 人間学部, 准教授 (70348316)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん / 外見 / 患者サポートプログラム / QOL / 医療者研修 |
Research Abstract |
① 研究1:治療にともなう外見変化の体験とその対処行動:【目的】外見変化に対する患者の対処行動のプロセスを明らかにする。【方法】国立がん研究センター中央病院で,化学療法を体験した患者30名(平均49.3歳)に対してインタビュー調査を実施し,グラウンデッドセオリーアプローチによる分析を行った。【結果】がん患者の場合には,外見変化から生じる不安の根源が「変化は死や病いの象徴」にあり,この点が,生命にかかわらない疾患による外見変化とは大きく異なる。また,患者がその外見に関する不安を解消するための対処行動は,他者との関係性や他者からのフィードバックによって変化するプロセスであることが明らかになった。 ② 研究2:アピアランスケアに関する教育研修システムの開発と検討:【目的】「外見関連の情報提供を中心とした患者サポートプログラム」の教育研修システムを開発し検証する。【方法】医師・看護師・薬剤師・心理士による多職種チームが,理論編と技術編からなる計4時間の基礎研修プログラム案を作成し試行した。全国のがん診療連携拠点病院の医療者92名(平均38.4歳)に対して,アピアランスケアの実施に関する自己効力感や知識を測定し,参加前後で比較した。【結果】研修会の参加後,知識や自己効力感は有意に向上した(t(86)=14.5,p<0.00)。自己効力感の向上は,積極的な行動変容に結びつくことが明らかになっており,基礎研修プログラムとしては有益である。 ③ 研究3:患者サポートプログラムの実施が医療者に及ぼす影響:看護師によるプログラムが運用され始めた九州がんセンターで,24年7月・25年3月と継続調査を実施した。運営に関わる医療者の意識に変化がみられた。 ④ 研究4:在外研究:24年4月にフランスのパスツール研究所で行われた医療者と美容専門家のコラボした研修会「ソシオエステティック第1回総会」を視察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らは,平成21~23年度の基礎研究(基盤研究C)から得られた知見を基に,4段階の外見関連患者サポートプログラム(がんセンターモデル第1試案)を完成させた。平成24年度以降は,その有用性の検証と発信準備の段階に入っている。 有用性の検証1として,平成24年度は,国立がん研究センター中央病院で,レトロスぺクティブにインタビュー調査を実施し,Grounded Theory Approachによる分析を行った。データの解析は終了し,現在,論文投稿の準備に入っている。 また患者サポートプログラムの発信準備のために,平成24年度は,医療関係者に対する各種研修を試みた。第1は,全国のがん診療連携拠点病院の医療関係者94名に対して実施した教育研修プログラム(基礎編:4時間)である。その後の継続研修の希望も高く,発信準備としては,予定通りに進行している。なお,この研修の有効性については,既に検証され,25年6月の日本乳がん学会での発表(厳選口演)が予定されている。 第2は,23年度から継続している九州がんセンターでの実地研修である。月2回のペースで,看護師による情報提供を中心とした患者サポートプログラムが運用され始め,インタビュー調査を実施したところ,それに関わる医療者の意識に変化がみられている。 また,在外研究として,フランスで行われた医療者と美容専門家のコラボした研修会「ソシオエステティック第1回総会」も視察し,今後の研修プログラムのあり方について示唆を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,「外見関連の情報提供を中心とした患者サポートプログラム」が患者に及ぼす効果を数量的に検討する。 まず<研究1>として,書面にて承諾を得られた乳がん患者5名に介入するパイロット研究を実施する。QOL尺度や心理尺度を用いて,患者の心理及び行動に及ぼす影響を検討する。身体への影響としては,唾液中の免疫指標などを用いる予定である(指標の選択は現在検討中)。具体的には,入院中のがん患者5名に対して最初に統制群を想定した60分の前後で2回の生理指標と質問紙調査を実施する。その後,参加群としてプログラムに参加してもらい,終了後に3回目の測定を行う。1週間後にも質問紙及び半構造的面接調査を実施する。タイムスケジュールや生理指標採取可能性も含めて本研究の実施可能性を確認する。 次に<研究2>として,プログラムの患者に対する影響について,本格的な介入研究を実施し,数量的な検討を行う。パイロット研究(研究1)で得られた知見をもとに,研究計画が適正かを再度考察した上で実施する。対象は,がん専門病院乳腺科に入院または通院中の乳がん患者で,抗がん剤治療前の女性とする。具体的には,一定期間内に乳腺科を受診した本研究適格対象者(約150名)に対して研究協力の依頼を行い,書面による承諾を得られた者50名(約30%を予定)に対して無作為抽出を実施する。50名を2群にわけ,半数をプログラム参加群(25名),残りをコントロール群(25名)とする。参加群は,各回6~7名で,60分のプログラムに参加する。コントロール群は,診療待ち時間を利用して,平常の治療時と同様に,待合室で過ごすか,入院中の者は,平常と同様に病棟で過ごす。その前後,別室にて,質問紙の記入及び唾液の採取を行う。終了1週間後及び化学療法終了1ヶ月後,質問紙と半構造的面接により調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)