2013 Fiscal Year Research-status Report
外見関連患者サポートプログラムの有効性の多面的検討に関する研究
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24530903
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
野澤 桂子 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 室長 (30469449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 千佳子 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 研究員 (10399462)
今野 裕之 目白大学, 人間学部, 准教授 (70348316)
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Keywords | がん / 外見 / 患者サポートプログラム / QOL / 医療者研修 |
Research Abstract |
本研究課題の2年目として、以下の研究を実施した。 ①研究I:患者支援プログラムの実施が医療者に及ぼす影響 【目的】より効果的な研修案を作成するために、プログラムの実施がその担い手である医療者に与える影響と課題を検討する。【方法】特別研修後、プログラムを開始した看護師4名に対して、継時的に半構造的面接調査を実施し、KJ法を参考に逐語録を分析した。 【結果】看護師(平均30.7歳)らは、平均5.7回の自主練習の後、プログラムを担当。時間経過と共に、看護師の意識は、知識・技術的側面から患者の気持ちを明るくする工夫など患者への配慮に強く向けられるようになった。3名の看護師は、患者との親密度が増し、通常の看護業務も円滑に行くという成長体験をした。残された課題は、院内の認知度向上や新スタッフ作りなどの運営面が中心であった。 ②研究II:外見関連の情報提供を中心とした支援プログラムが患者に及ぼす影響(パイロット研究)【目的】プログラムへの参加が患者の心身へ与える影響を数量的に検証するとともに、タイムスケジュールや生理指標の採取可能性も含めて本研究の実施可能性を検証する。【方法】初回抗がん剤治療前の女性がん患者10名(平均50.2歳)に対して介入研究を実施。参加群5名の心理・生理的変化を測定し、同時間経過の対象群5名のそれと比較した。【結果】参加群の方が、緊張不安が低下し(t(8)=1.89,p<.10)、外見に関する自己効力感が上昇する傾向が見られた(t(8)=2.09,p<.10)。なお、唾液に関しては、両群の差は認められなかった。(現在継続解析中) ③研究III:患者支援プログラムが患者に及ぼす影響:研究IIの本研究を60名に対して実施。クラスターサンプリングによる比較研究(参加群30名・対象群30名)で、測定回数は、プログラム参加前後と3ヶ月後の合計3回である。現在、約半数の測定を終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定通りに進んでいる。外見に関する患者サポートプログラムについて、その有用性を多面的に検証し、発信準備を行う3年間(24~26年度)の2年目として、継続研究を実施するとともに、新たな研究に着手した。 まず、24年度に基本的な解析まで終了した「外見変化への患者の対処行動に関する研究」については、さらに考察を深めて論文化し、学会誌に投稿した(現在投稿中)。 次に、プログラムの実施が医療者自身に与える影響については、24年度~25年度、実際に外見関連の患者サポートプログラムを開始したがん診療連携拠点病院の看護師を対象に追跡調査を行い、データを収集分析した。その結果、プログラムの実施が看護師の一般業務にも良い影響を与えることが示され、26年2月の日本がん看護学会で発表した。 3年間の本研究課題のメインテーマである、患者に対するプログラムの影響を数量的に検証する第一歩として、25年度は、10名の女性がん患者(参加群5名:対象群5名)に対してパイロット研究を実施した。このデータは現在解析中であり、26年9月の日本心理学会で発表する予定である。 現在は、パイロット研究終了後の本研究に着手している。対象者は、プログラム参加群30名と対象群30名、1人に対する測定回数は、初回調査(1日2回=介入前後)と3ヶ月後の郵送調査の計3回である。研究実施施設の設備切り替え工事の影響で、研究着手が予定より2ヶ月遅延したものの、既に、予定対象者の半数のリクルートと初回調査を終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、最終年度として、継続研究を終了させ、研究成果をまとめて発信準備を行う。 まず、25年度に着手した「外見関連の情報提供を中心とした患者サポートプログラム」が患者に及ぼす影響について、数量的検証を継続する。26年9月末には、全対象者に対する3ヶ月後の調査、年度内には解析まで終了し、27年度には学会発表及び論文発表を行う予定である。 並行して、これまで得た知見をもとに、外見関連患者サポートプログラムの推進役となる医療者に必要な知識や技術をまとめ、研修プログラムを完成させる。具体的には、24年・25年の基礎編研修会の際に参加者に対して実施した調査結果を検討し、さらに不足する知識や技術を補うための応用編研修会の内容を決定する。研修会の目的は、基礎編・応用編に継続して参加することにより、医療者が実施する外見支援の意義を理解し、適切な患者対応ができるレベルになることである。応用編研修会は、26年10月、基礎編参加者に対して実施する。その応用編研修会の際に、新たなアンケート調査を行い、そこで得たデータや、プログラムを先行実施した施設のデータ、患者を対象に実施した研究成果も加味して、26年度内に、最終的な医療者向け研修案を作成する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
患者支援プログラムが患者の心身に及ぼす影響を測定する研究に際して、研究実施施設の設備切り替え工事の影響で、研究着手が予定より2ヶ月遅延した。 そのため、当初予定していた人数の唾液のサンプル採取ができず、コルチゾール値の測定費用やデータ処理の経費予定額が残った。 繰越金額分は、研究に不可欠な測定費用であり、2ヶ月遅延した分の研究遂行の際に、当初の計画通り使用する予定である。
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Research Products
(7 results)