2014 Fiscal Year Annual Research Report
顕在的セルフ・アウェアネスの段階的分化とその変容過程の行動的解明
Project/Area Number |
24530907
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細川 徹 東北大学, 教育学研究科(研究院), 名誉教授 (60091740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 恵太 高知大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (50582475)
西田 充潔 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (70326536)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セルフ・アウェアネス / 発達過程 / 高機能自閉症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1.顕在的セルフ・アウェアネスの3水準(同一視、永続的、外的)のうち最高水準である「外的」水準を多元的・複合的な概念として捉え直し、それに対応する課題を新たに開発してRochatモデルを再検証すること、及び、2.高機能自閉症児では、顕在的セルフ・アウェアネスの分化過程で、「外的」水準の達成が著しく遅れる(あるいは変容している)という仮説を検証することであった。 本研究では、2つの実験課題を新たに作成して、就学前及び学齢期の典型発達児及び高機能自閉症児に実施した。その結果、1.ラベルを介して与えられた役割とそれを遂行する自己を同一視できるかどうかを問う課題成績から、顕在的セルフ・アウェアネスの最高水準である「外的」水準の獲得は典型発達児では4歳前後と推定されること、また、2.他者が行為者となる場合と自己が行為者となる場合の因果関係の理解を問う課題成績から、高機能自閉症児では自己が当事者である場合の因果関係の理解に特徴的な困難さを示すという事実から、間接的に、9歳でも未だ顕在的セルフ・アウェアネスの「外的」水準に達していないこと(すなわち著しい遅延があること)が示唆された。 これらの結果に関しては、すでに平成24年度と平成25年度の研究結果において基本的な検証が行われており、最終年度である本年度は、上記の知見を総合的見地から総括することと、学会発表や学会誌への論文掲載を通じて周知することを主眼とした。
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Research Products
(5 results)