2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530908
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩崎 祥一 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90117656)
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Keywords | 能動的注意 / 認知負荷 / 干渉 / 注意のダイナミックス |
Research Abstract |
平成25年度は、注意集中の客観的な指標を用いることができるかどうかを検討した。注意集中の課題としては、干渉効果をもたらすことが知られているStroop課題を用い、実験参加者がこの課題を遂行する際の認知負荷の測定を試みた。認知負荷の指標としては瞳孔径の計測を用いた。瞳孔径は、脳幹部のノルアドレナリン神経の活動を反映するとされている。注意を課題に集中することにともなう覚醒レベルの変動(注意を向け、処理を円滑に行うためには、処理に関わる神経活動が昂進する必要があり、そのために覚醒の上昇が起こる)をモニターすることで、間接的に注意の集中度の変動を探れると考えて瞳孔径の測定を試みた。 Stroop課題では、色と色を表す単語(例えば、「赤」)の組み合わせにより、文字の色と色の名前の一致する条件と不一致な条件が設けられている。一致条件に比べ、不一致条件では、色に対する反応が顕著に遅延する。我々の予備的な実験では、この遅延の程度は、注意を課題にどれくらい集中しているかにより変化し、注意の集中が高まるほど、干渉が低下することが判明している。最終的には、試行後との注意集中を瞳孔径を指標として測定し、その変化と干渉の程度が相関するかどうかを調べることを目ざしている(平成26年度に実施予定)。本年度は、そのための準備として、Stroop課題中の瞳孔径の変化が、認知負荷に対応しているかどうかを確認する実験を行った。 結果としては、Stroop課題での一致条件に比べ不一致条件では、色を答えるのに要した音声反応時間が増大し、Stroop効果が認められた。また、瞳孔径は、刺激提示後、約1.4秒で最大値を示し、処理の負荷により変動することが確かめられた。また、不一致条件での瞳孔径は一致条件よりも大きく、不一致条件では認知負荷がより高いことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定になかった認知負荷の測定を行う実験を行ったため、予定とは少し研究内容に違いがあるが、目的に沿った改良であると考えている。Stroop課題を用いて瞳孔計測による認知負荷測定の可能性が確かめられたので、平成26年度は、当初の目的の注意集中の時間変動を調べる実験を行いながら、そのときの瞳孔径計測を合わせて行う実験を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
Stroop課題を用いて、瞳孔計測を行いながら、注意集中に伴う干渉効果の変動を調べる。 課題としては、短い時間で2つの課題を課すことで、注意を先行刺激の処理に集中した影響を、次に提示されるStroop課題の干渉量(不一致条件の反応時間と一致条件の反応時間の差分)で調べる実験を行う。Flanker課題を用いた予備実験では、干渉量は第1課題と第2課題の時間感覚が変化(数十ミリ秒~200ミリ秒)するにつれて、ダイナミックに変動した。同様のことが、Stroop課題での干渉でも見られるものと予想している。 さらに、瞳孔径の計測により、試行ごとに課題に対しどれくらい集中したかを、瞳孔径の変化量で調べることで、試行を選別し、より高い注意集中が見られた試行とそれが低い試行での干渉量のダイナミックスを比較することを試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
瞳孔計測のためのプログラム開発などの準備に時間をとらてたため、十分な実験ができずに、謝金などが予定額ほどかからなかった。 瞳孔計測のプログラムの改良を業者に委託することにしているので、その分余分な謝金が発生すると思われる。余剰分はそれに充てる。
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Research Products
(4 results)