2012 Fiscal Year Research-status Report
思春期喫煙が成熟後の認知機能に及ぼす影響:動物モデルによる検討
Project/Area Number |
24530914
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中原 大一郎 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80128389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末永 叔子 東京福祉大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80431667)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 思春期 / マウス / ニコチン / 認知機能 / 注意機能 / 衝動性 |
Research Abstract |
雄のC57BL/6Jマウスを用いた。同じ母親から生まれたマウスを2群(ニコチン前処置群と生食水前処置群)に分け,生後34-43日目(思春期)の10日間にわたって,ニコチン(0.4mg/kg)または生食水を1日3回(10時,13時および15時)投与した。最終投与から5週間後に,インテリケージ(NewBehavior社製)を用いて,ニコチン前処置群と生食水前処置群マウスの認知機能を測定した。インテリケージには4つの独立した学習コーナーがあり,各コーナーには左右にそれぞれ視覚刺激用の3種類のLED(赤,黄,青)とノーズポーク用穴(シャッターと検出センサー付き),またシャッターの奥には,給水用ボトルが装着されている。マウスはインテリケージ内で集団飼育を行い,課題の遂行はマウスの活動期に当たる夜間に行わせた。マウスは背中に埋め込まれた認識チップによって識別した。それぞれのマウスに対して,(1)空間学習とその逆転学習課題,(2)単純反応時間課題および(3)衝動性選択課題のいずれかを行わせた。その結果,ニコチン前処置群マウスは,生食水前処置群マウスと同様に,空間学習を速やかに習得した。しかしながら,ニコチン前処置群は,逆転学習において有意な成績低下を示した。単純反応時間課題では,衝動性の指標となるフライング反応は生食水前処置群とニコチン前処置群で差は見られなかったが,注意の指標となる反応潜時で両群に差が見られ,ニコチン前処置群では生食水前処置群と比較して有意に潜時が延長した。以上の結果から,思春期にニコチンを投与されたマウスには逆転学習障害や注意障害が生じる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,思春期におけるニコチンの反復投与がマウスの認知機能にいかなる影響を及ぼすかについて検索した。3種類の行動課題について予定通りの実験データを得ることができた。その結果から,学習機能,自己統制機能および注意機能についての思春期ニコチン投与効果を詳細に分析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,前頭前野の認知機能が,思春期終了後のニコチン反復投与により,いかなる影響を受けるかについて検索する。前年度と同様に,同じ母親から生まれたマウスを2群(ニコチン前処置群と生食水前処置群)に分け,生後54-63日目(思春期終了後)の10日間にわたって,ニコチンまたは生食水を投与する。最終投与から5週間後に,インテリケージにニコチン前処置群と生食水前処置群マウスを投入する。前年度と同様に, (1)空間学習とその逆転学習課題,(2)単純反応時間課題および(3)衝動性選択課題について調べる。以上の結果を思春期終了後のニコチン前処置群とコントロール群で比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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