2012 Fiscal Year Research-status Report
順序のあるカテゴリカルデータのための一般化非計量主成分分析の計量心理学的研究
Project/Area Number |
24530926
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
村上 隆 中京大学, 現代社会学部, 教授 (70093078)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 主成分分析 / 多重対応分析 / 負荷行列の回転 / 量的データと質的データ / 心理学的尺度構成 |
Research Abstract |
本研究は,順序のついたカテゴリカルデータの探索的分析に用いる主成分分析,あるいは,非計量多変量解析の新しい方法を,アルゴリズムや回転方法,結果の適切性を判断するための補助的方法を含む関連技法を含め,心理測定への適応を念頭におきながら,開発・整備することを目指すものである。 開発の目的は,多重対応分析とその拡張モデルを,回転を伴う探索的因子分析と同様の観点と手順で解釈することができるようにすることであり,そこから,定量的方法の準用では見出せない,新たなデータ構造の発見と,従来の分析の適切性の検証を可能にすることである。 24年度については,特にカテゴリー数が3つの場合について集中して検討した。まず,本研究全体のベースである主成分分析の定式化について比較検討した。主成分分析にはいくつかの定式化があるが,すべて,基本的には同一の解が得られる。しかし,得られた解の解釈上の違いが,特に,カテゴリカルデータや3相データへの一般化した場合において,起こり得ることが明らかになった。そのような観点から,素点の線形合成変量の分散(の和)の最大化という定式化が,本研究全体の目的から考えて最適であると結論した。 その上で,3値のカテゴリカルデータの分析について,集中的に検討した。3値の項目への数量は,2次元を想定しても自由度が1しかなく,3つのカテゴリーの一定と仮定するだけで一意に定まってしまう。そのことから,カテゴリカルデータを通常の数量的な扱いの部分と,その残差である非線形的な部分に分解できる。それと,標準的な多重対応分析の結果を比較することにより,従来の数量的な扱いの正当性が確認できると同時に,非線形的な部分の意味についても従来より深く検討することが可能になる。 こうした理論的想定の下に,アクセス可能な多くの3値データの分析を行い,集積した。現在,その結果を精査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の項で記したように,3値データという限定された条件ではあるが,理論的検討は十分に進められた。研究途上の成果は,2012年7月11日,アメリカ合衆国,ネブラスカ州,リンカーン市において行われた,国際計量心理学会2012年度大会において,Semi-metric principal components analysis for ordered ternary variablesと題して口頭発表し,Leiden大学の Willem Heiser 教授他から一定の関心と評価をいただくことができた。 さらに,本研究のベースとなる多重対応分析について,以下の論文を刊行した。 村上 隆 (2013). 数量化3類と多重対応分析 社会と調査, 9, 48-62. 以上と関連した研究トピックとして,現在,極端な単純構造のパタン行列を生み出すような,線形合成変量を構成する方法についての研究を進めており,これに前述のように数量化した3値データを適用して,結果を確認しているところである。これは,本計画の発展として位置づけることができ,25年度の国際計量心理学会大会で発表の予定であるので,26年度には,より明確な評価を記すことができるであろう。 以上のように,申請した研究テーマに沿って着実に研究を進めており,「区分」欄のように自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は,前述の極端な単純構造をもつ線形合成変量の研究を進めるとともに,同一のデータを2値,3値,4値にコード化できる場合について,その結果を比較することを,当面,地道に進めていきたい。 このことからは,従来,何らかの経験的意味をもっているのか,それとも,単なる分析上のアーチファクトであるかが明確でない「馬蹄現象(horse-shoe effect)」について,新たな解釈を提起できる可能性がある。これらは,2値,3値,4値のすべてのケースにおいて類似した形状で現れることが知られているが,3値以上の場合については,2値データとは明らかに別の要因が働いていると考えられる(足立・村上,2011)。このことについて,研究期間中に何らかの明確な結論を得ることを目指している。 さらに,25年度は負荷行列の回転について,新たな方法を開発する目論見をもっている。本研究で採用した線形合成変量にもとづく主成分分析の定式化では,長さ1に基準化した固有ベクトルからなる行列の直交回転に関する不定性が自然に出てくるので,これを利用した(結果的には斜交)回転が従来から試みられている。しかしながら,従来の方法では,しばしば1を越える負荷量が現れるという不都合があった。最近,これを解消するための一案を得たので,25年度の夏季休暇を利用して集中的に取り組むことを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず,「次年度使用額」として,182,907円が発生した理由について説明したい。これは研究計画書に記したデスクトップコンピュータの購入を24年度内には差し控えたためである。それは,新規に購入できるコンピュータがすでに64-bitマシンに移行している一方,これには研究代表者が1997年以来使用に習熟している主要プログラミング言語である MATLAB4.2 がインストールできないことが判明したためである。25年度においては,64-bit マシンに適合した MATLAB2012(勤務先校費により23年度に購入済み)の使用に習熟するとともに,Microsoft社が表明している Windows-XP のメンテナンス終了時期とも考え合わせ,慎重にデスクトップコンピュータの購入時期を検討していきたい。なお,24年度については,現有機器(勤務先校費で購入)が耐用年数に達していなかったため,計算速度等に多少の制約はあったが,研究上大きな支障は生じなかった。 成果発表については,国際計量心理学会2013年度大会への出張(オランダ王国,アルンヘム市)を計画している。また,同様の成果は,日本心理学会第77回大会での発表も予定している。以上,海外および国内旅費を使用する。 研究環境整備としては,主要プログラミング言語である MATLAB 2012 の保守契約経費,並びに,計算統計学関連の(MATLAB以外の)ソフトウェアの購入を行いたい。現在,適切なソフトウェアを選定中である(複数の専門家の意見を聴取している)。 さらに,昨年同様,大量の作表,作図作業を大学院生依頼したいと考えており,人件費を支出する計画である。
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Research Products
(3 results)