2014 Fiscal Year Annual Research Report
文字刺激・実験配置の持つ実験結果攪乱要因の多面的検討
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24530927
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
水野 りか 中部大学, 人文学部, 教授 (00239253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 孝雄 中部大学, 人文学部, 教授 (00267709)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語母語 / 文字・単語処理 / 語彙判断課題 / メモリスパン / 実験配置 / 時間的不測性 / catch trials / 方法論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.文字刺激の問題 平成24年度は単語と形態的/音韻的に類似した非単語を用いた語彙判断実験を日本語母語者で実施し,音韻的に類似した非単語が影響しないことを確認し,日本語母語者の単語処理における形態情報への依存度の高さを検証した。平成25年度はこの特性が日本語母語者のメモリスパンにも影響すると考え,単語の文字数を統制して音韻的長さを変えた実験,音韻的長さを統制して文字数を変えた実験,音韻の特有な熟字訓を用いた実験で日本語母語者のメモリスパンを測定し,上の考えを検証した。最終年度は形態的隣接語の数が多い単語ほどメモリスパンが大きいという隣接語効果を形態的隣接語と意味的に類似した普通名詞(例:大雨)と意味的に類似しない固有名詞(例:大宮)で比較し,前者の方が顕著であることを示し,漢字の意味情報の日本語母語者の単語処理への影響を明らかにした。 2.実験配置の問題 第1・第2刺激の呈示間隔をブロック配置すると,第2刺激呈示の時間的不測性が高まり呈示間隔が短いほど反応時間が遅延する。平成24年度は第2刺激が呈示されないcatch trialを含めることでこの偏りが是正されることを検証した。平成25年度はcatch trialとcatch trialから次の試行開始までの時間間隔と同じISIで第2刺激が呈示される場合を比較し,単なる時間間隔ではなく第2刺激が呈示されないという事実が時間的不測性の偏りの解消に貢献することを明らかにした。 以上,本研究の遂行により,文字・単語刺激を用いた実験結果には日本語母語者特有の処理特性が影響することを示し,この種の実験を行う研究者に警鐘を鳴らすことができ,第1・第2刺激を種々の間隔で呈示する実験では時間的不測性に偏りが生じるため,catch trialを利用すべきとする方法論的提言を行うことができた。
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