2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530928
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
藤田 知加子 南山大学, 人文学部, 准教授 (70300184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小河 妙子 東海学院大学, 人間関係学部, 准教授 (30434517)
吉橋 由香 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (30436977)
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Keywords | 単語認知 / 同音異義語 / 漢字二字熟語 |
Research Abstract |
本研究は,日本語の視覚的単語の特色に着目して,標準的な単語認知課題を用いて行動指標(反応時間・誤反応率)を測定する実験を複合的に実施するとともに,そのような行動指標に現れる前の処理過程についても検討するために,眼球運動の軌跡を測定する実験を 行うことを計画している。また,これらの実験に必要な刺激材料の整備のために,実験対象となる大学生,小学生,日本語学習者を対象とし,単語(漢字二字熟語)を示すアイコンに関する調査を実施することを予定している。 昨年度の報告書で実施予定と報告した,大学生を対象とした単語認知課題を用いた認知実験を予定通り実施した。この実験の結果,プライム語とターゲット語の同音性は語彙判断課題の遂行に影響を及ぼさないことが示された。また,プライム語と読みを共有する漢字二字熟語と意味的な関連を持つターゲット語(間接意味関連ターゲット,例:駐車-病院)の処理が,ベースライン条件に比して抑制の効果を示すことが明らかとなった。これらから,プライム語の音韻情報が,ターゲット語の意味情報を活性化させ,それと意味的に関連を持つターゲット語の処理に影響を与えること,すなわち,単語の音韻情報がLexiconの活性化に影響を及ぼすことが示唆された。この結果は2013年12月に開催された日本基礎心理学会において発表した。 加えて,カテゴリー判断課題,音読課題を用いて同材料に対する実験も実施した。これらの結果については,発表の時期と場所を検討中である。 また,視覚世界パラダイムに基づく実験を実施するに必要な,ディストラクターに相当する単語群の選定とアイコンの作成を行い,2014年1月には小学生を対象として,それら熟語に対する読みの既知性,意味の既知性,語の親近性,および熟語のアイコンの妥当性 などの評定に関する調査を行った。現在それらの材料を用いて視線追跡装置を用いた実験の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の実施状況報告書に記載した,アイコン作成の準備期間の延長が影響し,全体的に進行がずれ込んでいる。 しかしながら,すでに3つの認知実験は実施することができ,視線追跡装置を用いた実験の準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
実施がずれ込んでいる視線追跡装置を用いた実験を順次行う予定である。具体的には7月を目処に視線追跡装置を用いた実験を小学生を対象に実施する。続いて,留学生を対象とした同様の実験も年度末を目処に行う予定である。したがって,研究計画は申請時の内容より変更することなく推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アイコンの調査および認知実験などの実施が計画よりも遅れたため,それらに必要と考えられた人件費分の研究費および旅費を次年度に繰り越すこととなった。 繰り越して請求する研究費は,2014年度に開催される国際学会における発表の際の旅費,および予定されていた認知実験実施の際の人件費,謝金として次年度使用する。 また,視線追跡装置を用いた実験の準備に補助者の協力が相当時間必要であることが見込まれること,実験装置の充実のために消耗品の購入が予定されることから,次年度に請求する研究費は,おもにそれらに使用する計画である。
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