2013 Fiscal Year Research-status Report
教職大学院と公立小学校の協働による「若年教員」の授業力向上過程に関する実践的研究
Project/Area Number |
24530946
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
瀬戸 健 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (30510036)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松沢 要一 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (10401788)
水落 芳明 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (40510053)
早川 裕隆 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (90590365)
久保田 善彦 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (90432103)
松井 千鶴子 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (20401789)
辻野 けんま 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80590364)
堀 健志 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10361601)
清水 雅之 上越教育大学, 学校教育実践研究センター, 特任准教授 (10547053)
金子 淳嗣 上越教育大学, 学校教育実践研究センター, 特任准教授 (30609186)
|
Keywords | 授業力 / 授業力向上過程 / 教材研究 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、本研究の協力校でいくつかの実践の映像記録を撮るとともに、その映像を文字化することに努めた。また、若年教員、特に初任教員やそれに続く教職経験2~3年目の教員が行う授業の共通性等についても検討を加えた。 初任者及び経験年数が短い教員について、どのような授業を理想としているかと尋ねるとその多くが、「自主的に学習に向かい、子ども同士がつながりあって学習する授業」というようなことを述べる場合が多い。しかし、実際の授業は、教師と子どもが一対一の対応で、一問一答型になっている場合が見受けられる。それは、若年教員の教材研究、あるいは授業準備が、子どもたちの多様な考えを引き出そうとするものではなく、教師が1時間の授業を完璧に説明できる教材研究または授業準備を行っているからであろう。この場合、教師の説明手順から外れる子どもの発言はいらないのであって、教師が自分で説明する言葉を子どもが言ったときのみとられるということになる。また、その答えは間違いがないという特徴をもつ。 初任者から経験を重ねるにしたがって、多くの若年教員は、このような一問一答・正答主義の授業に物足りなさを感じるようになるが、それをどのように打破したらよいのかについては、確かな見通しがない。今後、教材研究の方法、指導案と授業との一致という観点からの分析が必要であると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若年教員の授業実践の映像記録、その文字化については、順調に進んでいる。 しかし、アジア地域を中心とした若年教員の研修制度に関する調査については、進んでいない。特に当初から調査対象と考えていた中華人民共和国については、今年度も仲介を依頼している大学教員と連絡をとりあっているが、進捗状況はかんばしくない。 我が国における各都道府県教育委員会、また教員養成大学・学部と教育委員会との連携による取り組みは、かなり明確になってきているので、新潟市教育委員会等初任研を含めて5年間の研修プログラムについて調査を開始している。これについても、いくつか特徴的な取り組みについてさらに調査を継続していきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
第1は、東アジアの中華人民共和国、大韓民国、台湾などから1カ国以上を選び、若年教員が抱える指導上の課題、その課題解決に向けての取り組みを概観するための現地調査をを行いたいと考えている。昨年の進捗状況報告でも指摘したように、東アジア諸国では教師の「使命感」を資質能力の重要な項目として評価する傾向があり、できれば、「使命感」が教員の力量形成に及ぼす影響についても調査したい。 第2は、各都道府県教育委員会や、教職大学院と都道府県教育委員会との連携による若年教員を対象とした取り組みの状況について調査をしていきたい。この中では、まず、初任研をスタートとする若年教員のための数年にわたる研修の状況について確認をする。次いで、例えば和歌山県教育委員会と和歌山大学との初任者を対象とした取り組みなどは、初任者を大学に受け入れての試みであるので、是非、調査対象に加えていきたいと考えている。 しかし、これらのことは若年教員を対象とした研修体制の状況を俯瞰するものであって、本研究が中核とする若年教員の授業力向上過程について十分明らかにするものではない。この授業力向上過程を明らかにするためには、これまで撮りためた授業の分析、授業者やその授業者を指導した人たちからの聞き取りが不可欠であるので、労力と時間はかかるが精緻な分析になるよう心がけ、研究をまとめていきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中華人民共和国、大韓民国等の海外調査が予定通り遂行できなかったことが最も大きな理由として挙げられる。次いで、各都道府県教育委員会が実施する若年教員を対象とする研修体制の調査も不十分であることが挙げられる。 平成26年度は研究最終年度であるので、現在遅れている内容について取り組んでいくこととする。具体的には、以下の通りである。 ①中華人民共和国の調査と、都道府県、教職大学院の質問紙調査及びその中から3事例程度を取り上げての現地調査、これまで継続してきた若年教員の授業撮影として旅費約80万円。②授業映像の文字化のための人件費30万円。26年度経費で報告書を作成する。
|