2014 Fiscal Year Research-status Report
戦後保育・幼児教育法制の成立と占領政策の関係に関する研究
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24530948
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
加藤 繁美 山梨大学, 総合研究部, 教授 (00191982)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 戦後教育改革 / 幼児教育制度 / 児童福祉制度 / 沖縄占領政策 / CI&E / ヘレン・ヘファナン / 保育要領 / アメリカ幼児教育史 |
Outline of Annual Research Achievements |
戦後保育・幼児教育制度改革に関する研究を、国立国会図書館憲政資料室に所蔵されているGHQ・SCAP文書を中心とした調査・資料収集、米国調査で収集した資料の分析、沖縄における戦後保育・幼児教育制度改革に関する調査・資料収集という3つの課題を中心に実施した。 この内、GHQ・SCAP文書に関しては、とりわけ保育要領編纂過程を示すCI&E(民間情報教育局)カンファレンス・レポートを中心に関係資料を収集することができた。保育要領形成過程に関して、旧来の研究では触れられてこなかった新資料を発見することができ、その形成過程の概要を明らかにすることができた。現在、その成果を論文にまとめているところである。また米国調査で収集した資料に関しては、CI&E初等教育担当官として活動したHelen Heffernanが日本の担当者に提示し、戦後保育・幼児教育改革に影響を与えたといわれるA Good Start in School等の翻訳作業を進め、HeffernannをはじめとするCI&Eの影響について検証作業を展開しているところである。今年度はこれに加えて占領期沖縄の保育・幼児教育制度改革に関する調査活動を実施した。沖縄の幼稚園・保育所・認定こども園に資料の存在に関する調査を実施するとともに、関係者からの聞き取り調査を実施し、その実相を明らかにする研究を展開した。占領期幼稚園・保育所の実態を示す資料を収集するとともに、その実相について関係者から聞き取ることができた。 またこれらの研究に併行して、戦後保育・幼児教育制度改革の全体像を明らかにする目的で、資料に基づきながらその歴史を整理する研究を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に計画していた資料収集と資料の整理に関しては、概ね計画通りに進行している。とりわけ占領期沖縄の保育・幼児教育改革に関する資料は、関係者からの聞き取り情報も含めて収集することができた。日本の保育・幼児教育制度改革史の中に沖縄の歴史を位置づける上で、価値ある資料を収集することができた。またCI&Eカンファレンス・レポートも、新たな資料を発見することができ、資料収集の上で前進することができた。基本資料の整理に向けた作業も、概ね予定通り進んでいる。以上のことから、研究は全体として概ね計画通り進んでいると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した資料を「戦後保育・幼児教育制度改革資料集」として整理する作業を進めるとともに、研究成果を発表する。とりわけ保育要領の作成経緯に関しては、新資料の発見を基礎に研究論文にまとめ、発表していく計画である。PHW(健康福祉局)のカンファレンスレポートについても引き続き調査をしていく予定である。また米国調査で収集した資料とヘレン・ヘファナンの幼児教育思想に関する調査を、引き続き行っていく計画である。以上の研究を推進する一方で、戦後保育・幼児教育改革の全体像を整理する、研究のまとめを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた米国第二次(追加)調査を不要と考え、調査旅行を取り止めたため、次年度使用金が生じることになった。調査旅行を取り止める代わりに、昨年度収集した英文資料の一部翻訳に予算を使用することにした。翻訳作業を一部次年度に繰り越したため、予算も同時に繰り越し、次年度使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用予定の繰越金は、基本的に収集資料の翻訳作業に充当する予定である。第一次訪米調査で収集した資料を有効活用するため、重要部分について、引き続き次年度予算において翻訳業務を依頼し、研究代表者翻訳分と合わせて、研究の基礎資料として活用していく計画である。
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