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2013 Fiscal Year Research-status Report

言語教育と地域語の関係に関する比較史的研究

Research Project

Project/Area Number 24530976
Research InstitutionSoai University

Principal Investigator

長谷川 精一  相愛大学, その他部局等, 教授 (40269824)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 越水 雄二  同志社大学, 社会学部, 准教授 (40293849)
北澤 義之  京都産業大学, 外国語学部, 教授 (90257767)
Keywords言語教育 / 三角測量 / 沖縄 / ブルターニュ / アラブ
Research Abstract

平成25年度においては、前年度に得られた結果を基にして、対象とする各地域の人々が、近代学校教育システムにおける言語教育に対してどのように考え、行動していったのかについて解明していくことを目指した。まず、沖縄に関しては、1930~40年代における標準語教育をめぐる議論を再検討し、「徹底した標準語励行」という論調以外に、沖縄の言葉の「母語」としての意義を主張する議論や、沖縄の言葉と標準語の混用を説く議論も存在していたことを、戦後に関しては、「復帰」運動の論脈の中での日本人としてのアイデンティティ確立のための「徹底した標準語励行」が再び主張・実践されたことを確認した。ブルターニュに関しては、平成24年度は、19世紀ブルターニュにおける地域語ブレイス語の使用と国家語フランス語の浸透との関係を、貧農出身でフランス語を独習し、軍人となり海外を転戦した後、郷里へ戻った一人物の自伝的史料から考察した。これと並行して、ブレイス語を守るため1970年代から活動を始めたディワン会Diwanの学校の歴史と現状についても、関係者の発言を集めた報告書等に基づいて検討を進めた。二つの事例から、時期は異なるが、地域文化と国民統合との葛藤や対立という図式には収まらない、言語の学習および教育の実態と社会的意味が読み取られた。アラブ諸国に関しては、言語教育をめぐるマクロなアプローチとミクロなアプローチをとり、前者はアラブ連盟高等研究所のアラブ諸国の言語教育に果たした役割の研究のための資料収集を進めており、昨年のヨルダンでの調査において一部資料を入手した。後者はヨルダンにおけるアラビア語教育および文語・口語教育に関する研究である。方言の持つ政治的インプリケーションについてパレスチナ方言話者とヨルダン方言の関係に関する人類学的研究や社会言語学的研究の成果を援用しつつ、言語教育の国民形成における位相を研究している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

交付申請書に記したように、本研究は、沖縄、ブルターニュ、ヨルダンという3つの地域における言語教育と地域語との関係を分析し、各地域での考察を相互検討することを通じて、中央政府による近代学校制度の普及が地域の近代化をもたらすという近代教育システムに関する西洋モデルに基づく理解を相対化することを目的としているが、各地域において、国家語及びアラブ語と各地域の独自の言葉との関係についてその実態についての検討を進める中で、その目的を達成する一定の方向性が見えてきたと考える。

Strategy for Future Research Activity

研究の最終年度となる平成26年度には、これまでのアプローチによる成果に基づいて
調査・考察を進めた後、《三角測量》の視点から本研究全体の総まとめを行なう。社会が個人をつくり、個人が社会をつくるという、言語教育の観点から、時代・社会による個人の被規定性と個人が社会に及ぼす影響力との相互関係の考察をさらに進めることにより、「一言語=一民族=一国民=一国家=一文化」の図式を超えるマルチプル・アイデンティティという視座、均質で一枚岩的な複数の共同体の共存を唱える多文化主義の限界を超える可能性をもつ多言語主義の視座を見出すことを目指したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費として計上した分と旅費として計上した分が未使用である。
最終年度にあたる平成26年度には、研究全体の総括を行うために必要な経費として、物品費としては関連図書を購入し、旅費としては、沖縄、フランス、及び、アラブ地域、及び東京(国会図書館)への出張を行う。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 「戦後」沖縄における「標準語」指導2014

    • Author(s)
      長谷川精一
    • Journal Title

      相愛大学研究論集

      Volume: 30 Pages: 3-33

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 「ヨルダンの国民形成と民主主義」2014

    • Author(s)
      北澤義之
    • Organizer
      東洋文庫 現代イスラーム研究班2013 年度合同研究会
    • Place of Presentation
      東洋文庫
    • Year and Date
      20140301-20140301
  • [Book] 『現代アラブを知るための60章』2013

    • Author(s)
      北澤義之、松本弘他
    • Total Pages
      320
    • Publisher
      明石書店
  • [Book] 『グローバル・ガヴァナンス論』2013

    • Author(s)
      北澤義之、吉川元他
    • Total Pages
      314
    • Publisher
      法律文化社

URL: 

Published: 2015-05-28  

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