2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530977
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
相馬 伸一 広島修道大学, 人文学部, 教授 (90268657)
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Keywords | コメニウス / パトチカ / 開けた魂 / 開放性 / 権力と教育 |
Research Abstract |
① ヤン・パトチカの晩年のコメニウス研究についての検討 パトチカが1970年に発表したチェコ語論文「J・A・コメンスキーの哲学について」と翌年にドイツ語で発表された「J・A・コメニウスの教育の哲学」を比較考証し、思想史方法論、教育における贈与論、コメニウスの教授原理の哲学的解釈、近代教育批判、コメニウスの社会改革論の評価をめぐって両テクストに大きな相違があり、ドイツ語テクストを引証すべきことを明らかにした。 ② 国際教育史学会での研究発表 8月にラトヴィア大学で開催された国際教育史学会第35回大会で、「J. A.コメニウスにおける権力と教育」と題して発表。近年、あらゆる者への教育というコメニウスの理念は批判的にとらえられるようになっているが、コメニウスがモットーとした「暴力なくば、すべてはおのずと発する」に対するパトチカの解釈の示唆に基づき、コメニウスの暴力論の検討から、彼が、学習者の内発的な行為を可能にするような外的な力のあり方を考察したことを論じた。 ③ 国際コメニウス研究学会での研究発表 10月にオランダのナールデン・コメニウス博物館主催の国際学会で「J・A・コメニウスにおける開放性の諸側面とその可能性」と題して研究発表。パトチカが晩年のコメニウス研究で、コメニウスを「開けた魂」の思想家と見なした解釈をうけ、コメニウスの開放性の概念が教育思想の展開のうちに明瞭に認められることを確認した。 ④ 文献調査 8月にスウェーデン・ノーショーピン市立図書館のフィンスポング・コレクション、リトアニアのビリュニス大学図書館を訪問し、コメニウス関連文献を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画していたが果たせなかったスウェーデンのコメニウス文献の調査ができたこと、未発表であるが、19世紀以降の教育史テクストにおけるコメニウスの位置づけの変遷についての検討やパトチカのコメニウス研究の翻訳も進めることができたことから、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
幸いなことに、本研究の成果発表のために申請していた研究成果公開促進費の交付が内定しており、まずパトチカのコメニウス研究の翻訳出版にとりくむ。このテクストの完成により、本研究の一応の完成に向けた基盤を確立できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属先の副学長としての任期が本年度までであり、文部科学省補助金事業「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」等の担当していた事業計画に見通しを立てるのに相当の時間と労力を費やす必要があった。 幸いにして、学内役職の任期も満了し、平成26年度後期から研究に専念できる期間が与えられるため、平成26年度の研究計画を充実させるよう、研究費を活用していく。
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Research Products
(4 results)