2014 Fiscal Year Annual Research Report
質保障のための学校運営とガバナンス改革に関する日仏比較研究
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24530990
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
藤井 佐知子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (50186722)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学校評価 / 学校経営 / 学校改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
LOLFの市場主義・成果主義的発想の影響を強く受けた「学校基本計画法」(2005年)による学校運営改革の中心施策である①自律的学校経営活性化方策としての学校評価システム構築、②学校と大学区当局との間で交わされる目標契約制度、の2点について前年度までの文献調査を跡付けるために現地調査を行った。調査は、ボルドー大学区の視学局の協力を得て、学校評価システムについての詳細な実態、ならびに各機関が当局との間で交わす「目標契約」の実態と課題を中心にインタビュー調査を行った。 この結果、学校評価については、当初の自己評価内在型の自律的学校経営をめざすための支援ツールとしての位置づけから、LOLFに基づき学校の成果によって教育システムの有効性を測定する目的にシフトしており、様々な教育・評価方法と生徒の学習成果の関係を分析する道具となりつつあることが明らかとなり、他校との比較や自校の問題解決も、最終的には成果が問われる傾向にあることが分析できた。この動向は、数値目標を掲げて成果をあげることを求める新しい目標管理型フレームである「目標契約」の登場が大きな契機となっており、学校関係者からは、その動きに対する戸惑いが見受けられた。そうした動向に対して「参加型監査AVP」という独自の評価手法を導入しているボルドー大学区はその動きに歯止めをかける役割を果たしつつも、評価者育成において課題を有しており、負担の重さも加わり十分な成果を出しえていないことも明らかとなった。 結論として、学校自治体制のもとで学校が改善サイクルの主体となり、大学区がここに専門的支援を行い国は枠組み設定と大学区評価を行う、という国-地方-学校の三層による恒常的学校改善サイクルの原理が徐々に崩されていく過程が実証できた。
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