2014 Fiscal Year Annual Research Report
学習を基盤とする持続可能で価値多元的な社会モデルの構築
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24530993
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧野 篤 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20252207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 正連 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60447810)
白石 さや 岡崎女子大学, その他部局等, 教授 (70288679)
新藤 浩伸 東京大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (70460269)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 価値多元社会 / 持続可能性 / 当事者 / 学習 / 関係論 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間にわたる本研究を通して、価値多元的で持続可能な社会のあり方について、以下のようなことが明らかとなった。 第一に、人々の自己形成というきわめて個人的な学習の営みが、集団的に組織し直され、関係論的な主体へと構成されることで、コミュニティが新たな価値を多元的に構成し、それが、各個人のあり方を常に変容させて、コミュニティを持続可能な社会として組み換え続けることが可能となるということである。 第二に、それはまた、人々がコミュニティで学習を他者とともに組織し、自己と他者とを関係態として構成しつつ、変容させることによって実現するものである。それは、学習が何か所与のものを分配し所有するということではなく、関係を組み換えつつ、新たな価値を生み出す営みであることを示している。持続可能な社会を実現する「学習」は、新たな価値として個人とコミュニティを生み出し続けるプロセスでありながら、方法でもあるものとして、組み換えられるものとなる。 第三に、このような個人のあり方は、コミュニティの当事者として、住民のみならず、コミュニティにかかわる「よそ者」をも巻き込む形で、一つの関係態として自己を構成するものとしてある。当事者とは、一個人のあり方ではなく、コミュニティを持続可能なものとすることによって生成される関係であり、かつそれによって持続可能となるコミュニティそのものである。 第四に、このことは、「学習」が、個体主義的な分配と所有の関係において発動するものではなく、贈与と答礼の関係論的な時空を組み込んだ自動的なものとして構成され、おのずから駆動するものであることを意味している。いかなるコミュニティであっても、そこには「学習」が息づいており、それを意識化し、自覚化することで、個体主義的な学習が関係論的なコミュニティの構成を駆動させる。ここに、コミュニティを駆動させる「よそ者」の存在が必要となる。
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Research Products
(27 results)