2012 Fiscal Year Research-status Report
文化的実践としての保育活動への参加を通した幼児の数量発達に関する研究
Project/Area Number |
24530995
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
榊原 知美 東京学芸大学, 国際教育センター, 講師 (20435275)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発達心理学 / 幼児教育 / 文化的実践 / 保育活動 / 幼児 / 数量理解 |
Research Abstract |
本研究は,幼児が参加する文化的実践としての保育活動に注目し,日本の保育に特徴的にみられる保育者による数量支援の構造と幼児の数量発達の関係を明らかにすることを目的とするものである。平成24年度は,保育活動の観察および幼児の数量能力評価の実施に向けた理論的・実証的な基盤固めのため,以下の3点を行った。 第1に,幼稚園における自由遊び場面の分析を通して,幼児の自発的探索とそれを促す保育者の支援の機能について,社会文化的アプローチの立場から適切にとらえるために必要な,理論的枠組みを検討した。具体的には,Hedegaard (2009)によるVygotskyの「危機」概念の現代的解釈に基づく理論的提案の可能性と限界について検討した。そこでの結果を踏まえ,子どもによる自発的探索を捉える視点として,Vygotskyの発達の最近接領域概念を「制約」という視点で拡張するアプローチを提案した。 第2に,日本の保育の文化的特徴をより明確に把握するための比較文化的データとして,在米の日本人を対象に保育を行っている米国ニューヨーク州の保育所・幼稚園において,保育活動の観察および保育者へのインタビューを行った。 第3に,幼児の数量能力の総合的評価を目的に日本版を作成・実施した,Child Math Assessment (CMA)完全版で得られたデータを用いて方略分析(数,算術,空間幾何,測定,パターン)を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
諸般の事情により,当初予定していた対象園での調査実施が困難となり,平成24年度中に4歳児のデータ収集を行うことができなかった。これに代わり平成24年度は,研究実績の概要で示した理論的・実証的研究を行い,データ収集・分析をより的確・精緻なものにするための基盤固めを進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に4歳児,平成26年度前半に5歳児のデータ収集・分析を行う。この間に,適宜,保育者への面接も実施する。26年度後半には,これらのデータの比較検討および総合的な検討を行う。データの比較および総合的な検討の期間が当初予定よりも短くなったが,24年度中に十分な理論的検討と分析枠組みの設定が行えたため,この期間で必要な分析検討を実施できる見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)