2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530996
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
益川 浩一 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 准教授 (40334916)
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Keywords | 公民館 / 法人公民館 / 初期公民館 / 歴史的性格 |
Research Abstract |
本研究は、社会教育の中心施設とされる公民館、とりわけ、初期公民館(1946年から1953年頃の公民館)及び法人公民館に注目し、その実像をより精緻にとらえ、その具体的諸相を明らかにすることを目的としている。こうした研究目的を達成するため、今年度は、公民館関係史・資料の収集・整理とその筆耕作業を行った。より具体的には、法人公民館である大阪府内の桜ケ丘公民館(高槻市)、新田公民館(大東市)、長瀬南公民館(東大阪市)、浜寺元町公民館(堺市)、高見公民館(大阪市此花区)、向ケ丘町自治会館(堺市)、鹿児島県内の竹子公民館(霧島市)、東京都区内の九品仏公民館の史・資料収集と整理を行った。それぞれの公民館の「寄附行為」、「設立趣意書」、「事業報告書」、「予算書」、「決算書」等を収集・整理し、それらの公民館がどのような経緯で設立され、現在どのような事業を実施しているのか等について検討を進めた。 戦前から公会堂等の既存の集会施設や資産を有している地域組織等の中には、それを維持するために、「公民館を設置する目的を持つ」財団法人としての法人公民館を登記して、その維持・運営にあたっているところがあった。また、財産区の土地を管理している団体が、その土地からの収入を地元に還元する行為として法人公民館を設置して、地元の社会教育活動に貢献している事例も見られた。さらに、宅地整理を進めた土地区画整理事業組合が設置した会館や排水ポンプ場・精米場を組合解散後も引き継いで維持管理し、住民の生活向上と福祉の増進に資する事業を行う団体組織として、法人公民館の設置(登記)を進めた地域もあった。その他、住宅地において、住民交流を強め、まちづくりの拠点としての機能をもった施設を設置する際に、法人公民館としての登記を選択した例も見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、社会教育の中心施設とされる公民館、とりわけ、戦後初期公民館(1946年から1953年頃の公民館)に注目し、その実像をより精緻にとらえ、その具体的諸相を明らかにすることを目的としている。とりわけ、法人公民館に注目し、その設立・運営の実態を歴史的に明らかにすることを目的としている。今年度は、現在も設置・運営されているほとんどの法人公民館の「寄附行為」、「設立趣意書」、「事業報告書」、「予算書」、「決算書」等の第一次史・資料を収集・整理することができた。そして、それらの設立過程の多様性や地域性の解明に接近することができ、法人公民館の歴史的性格を一定程度明らかにすることができた。また、法人公民館の活動の現状・実態を明らかにすることができた。 したがって、研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に実施した、大阪府内の桜ケ丘公民館(高槻市)、新田公民館(大東市)、長瀬南公民館(東大阪市)、浜寺元町公民館(堺市)、高見公民館(大阪市此花区)、向ケ丘町自治会館(堺市)、鹿児島県内の竹子公民館(霧島市)、東京都区内の九品仏公民館の史・資料の追加調査及び整理を進める。加えて、初年度に実施した岐阜県内の池田町屋公民館(多治見市)、大川公民館(瑞浪市)の史・資料の追加調査(聞き取り調査を含む)及び整理を進める。さらに、未だ十分に調査するに至っていない岐阜県内の市之倉公民館(多治見市)と倉知公民センター(関市)の史・資料収集・整理とその筆耕作業を行う。とりわけ倉知公民センターは、関市の倉知地区(昭和の合併時の旧倉知村)の財産区の土地を管理している団体によって設置されたもので、地域の特性をいかして住民主体の地域づくりを行う組織である「地域委員会」の母体として期待されている「まちづくり推進委員会」と一体的に活動を進めており、全国的に見てもユニークな事例であり、詳細に調査を進める予定である。 そして、研究のまとめとして、公民館とりわけ法人公民館の設立・運営過程の実態をより精緻に明らかにすることとし、加えて、公民館の歴史的性格の解明に接近したいと考える。加えて、今日の法人公民館をめぐって、今次の公益法人改革への対応状況も明らかにし、これからの法人公民館の運営をめぐる課題と展望についても検討したいと考える。
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