2012 Fiscal Year Research-status Report
都道府県教育委員会の学力政策に関する研究-新しい政策評価モデルの構築ー
Project/Area Number |
24531008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河野 和清 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30116579)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学力政策 / 指導主事配置人数 / 教育予算の割合 / 学校評価の施策への活用度 |
Research Abstract |
1.初年度は、学力政策のどこに問題があるか、その一般的問題や、学力の成果に教育委員会特性がどのように影響を与えているかを、教育委員会への質問紙調査を通して分析した。 2.その結果、次のようなことが明らかとなった。①一般的に、教育委員会自体の政策立案能力が低いこと。②学校の内部評価が教育委員会の教育施策や行政活動の改善に必ずしも十分に活用されているとは言い難いこと。③教育委員会の所管の学校の学力得点に影響を与えている要因として、「教育予算の割合」、「まちづくり貢献度」、「家庭でのしつけ」、「保護者の学校への理解度」、「学校評価の施策等への活用度」、「指導主事の配置人数」、「教育委員に 有能な人 材を登用していること」が挙げられる。 3.今後の課題 ①今回の調査で、学校の学力得点に影響を与えている要因として、教育予算の割合や指導主事の配置人数などが挙げられ、教育委員会の組織体制など、条件整備の重要性が指摘できたことは、興味深い。また、学校評価等の教育施策へ生かすことの重要性もあきらかになった。 ②今後の研究では、教育委員会の組織体制、学校との連携形態、保護者との連携状態等の観点から、子どもの学力の向上にいかに影響を与えているかを構造的に分析することに努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の調査研究で興味深い知見(結果)も導き出されたけれども、学力向上政策の成否を規定する要因を必ずしも十分に析出できなかった。これは、調査の理論枠組が定まっていないことに起因している。 今年度は、事例調査を加味しながら、理論枠組を明確にし、教育委員会の政策分析能力、政策評価機能とそのフィードバック機能の充実度、および対外的な説明責任の履行度などの観点から、調査を行い、教育委員会の学力政策の実相と課題等を明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、公立高等学校の校長を対象とする「学力施策の実施状況に関する調査」を実施する。これによって、高等学校の学力政策の定着状況や、それを阻害している学校の組織的要因及び教育委員会の学校に対する指導等の課題を明らかにする。また、都道府県教育委員会に対しても、学力保障推進事業に関する実態調査を行う。 【調査対象】都道府県教育委員会47自治体及び全国公立高等学校長1000人 【調査期間】2013年10月上旬~11月下旬 【調査手続】1.調査項目の作成、2.専門家との意見交換をし、最終的に質問紙調査を確定する、3.質問紙調査を全国公立高等学校に配布、4.質問紙調査の回収及びデータの入力、5.データの解釈及び論文作成。このため、謝金や印刷費及びデータ入力費等が必要となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度研究費(直接経費=1,206,249)の使用計画は以下の通りである。 1.物品費(設備備品費150,000円、消耗品費56,249)2.旅費450,000円3.謝金等50,000円4.その他500,000円。具体的な経費の使途は次のようである。 先ず、質問紙調査の内容を確定するにあたって、専門家の助言を得るための国内旅費(東京)と謝金が必要であるとともに、この分野で研究が進んでいる米国で、政策評価関係の専門的資料、文献、論文を収集するための(外国)旅費も必要となる。また、政策関係の図書費のほか、調査用紙の印刷費やデータ入力費及びアルバイト代も必要となる。
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