2013 Fiscal Year Research-status Report
都道府県教育委員会の学力政策に関する研究-新しい政策評価モデルの構築ー
Project/Area Number |
24531008
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河野 和清 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30116579)
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Keywords | 教育委員会 / 学力保障政策 / 教育振興基本計画 / 自己点検評価 / 首長部局との連携 / 社会関係資本 |
Research Abstract |
今回の研究から次のようなことが指摘できる。 1.都道府県教育委員会の教育振興基本計画と自己点検報告書の分析を通して、次のことが明らかとなった。①自治体の振興計画と都道府県教育委員会の学力保障政策との間に整合性等が明確でない自治体があること、すなわち自治体の地域づくりに人づくりの面からどのように教育委員会がかかわるのか、そのビジョンや方策について明示されていないこと、②学力保障を行うに当たって、学力向上のみに焦点を当てている自治体と、家庭での生活習慣の改善や教員研修等その他の施策をも同時に推進し、その政策の効果を上げようとしている自治体があること、③明確な指標を用いたり、外部の評価委員を活用し、学力保障政策の自己点検評価を丹念に実施している自治体とそうでない自治体が存在すること。 2.市町村教育委員会の学力保障政策と子供の学力との関係について検討すると、①子供の学力(小学校国語B)と家庭での生活習慣・しつけの形成や保護者の学校への理解度との間に、また②子供の学力と教育委員会の学校に対する支援(=学校支援)との間にはそれぞれ統計的に有意な関係が認められる。 3.本調査の成果を踏まえ、今後の研究課題を挙げると、次のことが指摘できる。①学力保障政策が具体的にどのような内容で策定され、それがどのように教育改善に生かせる形で評価等が行われているか。②学力向上が社会関係資本等によってどのような影響を受けているのか、③学力保障施策を実施するにあたって、教育委員会は他部局とどのように連携協力しているか。これらの課題を教育委員会を調査対象に検証する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
都道府県調査を行うに当たって、学力保障政策の立案、実施、評価に関わる理論的枠組の策定が十分に行えなかったことが、研究の遅れの一因となっている。現在、教育政策関係の理論研究の動向を踏まえつつ、学力保障政策をどのようにとらえるべきかその研究の論点(3点)及び具体的な調査項目等を検討し、作成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、学力保障政策の理論的枠組みを早急に策定し、研究概要の課題でも触れた観点から、全国的な調査を、都道府県及び市町村教育委員会を対象に実施していきたい。その際、量的研究だけでなく、併せて事例研究等も行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学力保障政策の立案、実施、評価に関わる理論的枠組を策定する準備作業が遅れたため、調査の実施が困難になった。次年度は、教育委員会等に対する事例調査等を実施するなかで、学力保障政策に関する理論的枠組を確定し、都道府県教育委員会及び市町村教育委員会を対象に全国的なアンケート調査を実施する予定である。 本年度の使用計画の概要は次の通りである。 先ず、教育委員会(10団体)に対する事例調査等のために、旅費等(40万)が必要となる。次に、都道府県及び市町村教育委員会を対象とした全国的なアンケート調査を行うために、印刷費(20万)、郵送費(40万円)が必要となる。その他に、調査を行うに当たっての補助を行うアルバイトの費用(5万円)、文房具等の消耗品費(5万)及び図書費(10万円)等を必要とする。なお、教育委員会に対するアンケート調査の内容の柱は、教育委員会と首長部局との連携協力関係、施策の立案過程、評価方法、評価結果の活用状況、及び都道府県教委と市町村教委の連携協力関係などが想定される。
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