2013 Fiscal Year Research-status Report
都市近郊団地にみるソーシャル・キャピタル蓄積・展開過程における教育学習機能の研究
Project/Area Number |
24531013
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
上野 景三 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (30193824)
|
Keywords | 国際情報交換 / 団地政策 / 社会教育 / 集合住宅 |
Research Abstract |
1,第一年度に調査した福岡県大牟田市、大阪府千里ニュータウン、兵庫県武庫川団地を事例として「日本における社会教育の再編と福祉の結合」というテーマで2013年4月にInternational Conference Social Pedagogy in Finland and a Comparison of Japan and Korea (名古屋大学)で報告した。フィンランド、韓国との比較の議論であったが、高齢者問題への社会教育学の新しいアプローチとして注目された。 2,第一年度に収集した文献資料をもとに、2013年9月に日本社会教育学会において都市近郊団地にみる社会教育とソーシャル・キャピタル蓄積・展開の過程関連に関する研究」 (日本社会教育学会第60回研究大会 東京学芸大学)として建築学・住宅学、及び社会教育学の従来の研究を整理し、学際的な分析枠組みを試論的に報告した。新しい試みであったが、教育学研究としては未知の領域であったため、建築学を始めとする隣接領域との学際的統合の必要性についての関心を高める報告となった。 3,日本社会教育学会での報告をもとに、「都市近郊団地にみる社会教育とソーシャル・キャピタルの蓄積・展開の関連に関する研究(1)」(佐賀大学文化教育学部研究論文集第18集第2号 2014,1 1-16頁)を発表した。学会報告時には不十分であった国にコミュニティ政策に関する動向を整理し、その上で今日の都市近郊団地で生起している問題と課題について整理した。 4,さらに全国的な状況を詳しく調べるために、東京市政調査会の専門図書館を数回にわたって訪問し、雑誌等も含めた資料をほぼ収集した。また研究協力者の山下教授(工学院大学)から今後の調査方法についてアドバイスを得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二年度は、第一年度に収集、調査した文献、事例の整理に加え手、第二年度に収集・調査した資料を加えて、研究発表、中間報告の執筆を行った。国際フォーラムにおいても報告の機会があったことから、全体として研究報告2本、研究調査報告2本と、予想以上の成果と実績をまとめ上げることができたように思う。 問題は、全国調査の遅れである。調査自体の計画が進展をみないのは、調査対象に無理があるからだと、研究協力者山下教授(工学院大学)から助言を得ている。つまり都市近郊団地は多様であり、期待される成果を導き出しにくいとのことであった。なぜなら、都市近郊団地でソーシャル・キャピタルの形成が求められているのは、UR団地ではなく、公営団地であるとのことであった。全国調査計画は見直しし、当初のUR団地を限定し、公営団地も含めた実態調査に切り替えることを検討しなければならない。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、第三年度は都市近郊団地おける生活支援とSC、社会教育・生涯学習の関連を起訴に、「団地再生」にむけた社会教育・生涯学習の在り方についての提言をする予定である。そのために、一つは第二年度までの実績を踏まえ、学際的な分析枠組みの精緻化をはかり、それに基づいたいくつかの典型事例調査の補足調査を行う予定である。二つには、全国調査の予定を見直し修正をかけてUR団地の調査を部分的に行う。そのかわりより問題をかかえている公営団地を視野にいれ、研究協力者の助言をもとに公営団地の調査を試験的に行う予定である。その上で、「団地再生」にむけた生活支援を支える社会教育・生涯学習の関連について提言を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度と同様の理由である。全国調査が未実施となっており、調査計画の再計画を迫られているためである。 今年度は、全国調査を修正して部分的に実施する。その変わりに、研究協力者から助言をえて、調査対象をUR団地に限定せず、公営団地も含めて調査を行うことに切り替える予定である。
|
Research Products
(5 results)