2014 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルキャピタルの再生にむけた地元学の創造と地域学習の展開に関する研究
Project/Area Number |
24531022
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐藤 一子 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (60114211)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地域再生 / 食文化 / 文化伝道師 / 語り部 / 生活文化の継承 / 地域学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域再生にむけたソーシャル・キャピタルの活用、生活文化の継承・地域学習ネットワークの構築をテーマとして、25年度から26年度にかけて山形県庄内地方の浜文化伝道師の養成と活動について調査研究をおこなった。庄内の浜文化は江戸期から魚の行商人を通じて伝承され、庄内地方全体としては城下町、浜、山の行者、農村集落などの多彩な地域性にねざす文化的伝統が育まれてきた。浜文化伝道師の養成は浜文化の伝承、特に魚食文化の継承を目的として、生産者から消費者にわたる多様な職業人・生活者のネットワークを推進し、地元の食文化の豊かさを子どもたち世代にも伝承することをめざして政策的に推進されてきた。県事業として全県的に魚の料理教室を開講し、学校や地域の社会教育施設などで郷土料理の普及をおこなってきた。職域・地域を越えて浜文化伝道師の認定を受けた人々が連携し、行政と民間の協働によって食文化の継承から地域経済・観光等の活性化をめざすとりくみが発展した。特に鶴岡市は、食文化を地域文化のコアにすえてユネスコ文化創造都市への登録承認をめざし、平成26年11月に日本で最初の食文化創造都市として認定された。本研究は、ソーシャル・キャピタルの活用による地域再生のプロセスとして、前半では岩手県遠野市の昔話の語り部の活動について検討し、後半では山形県庄内浜文化伝道師に注目した。二つの事例とも地方消滅の課題をかかえた地域のとりくみである。ここでは、生活文化を継承することを意識化した人々の伝承活動と行政による地域再生・地域づくりの協働をつうじて、住民、特に子どもたち世代に対して地域文化の価値への気づき、共有、地域参加を促していることが確認された。語り部、浜文化伝道師のライフストーリーの検討を通じて、生活文化を継承する人々の相互学習と地域認識の深まりの過程を検証し、当初意図した地域学習の理論モデルの構築にせまることができたと考える。
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