2013 Fiscal Year Research-status Report
ポスト東日本大震災期の新たな留学生支援施策と大学の国際化第3フェイズへの転換
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24531053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末松 和子 東北大学, 国際交流センター, 教授 (20374887)
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Keywords | 減災・防災教育 / 国際教育 / 留学生教育 / 危機管理 / 共同教育 |
Research Abstract |
昨年度実施した留学生および留学生教育・支援者への調査結果をもとに作成した留学生教育・支援者向けの「災害発生時の緊急対応ガイドライン」の素案を、9月12日にトルコのイスタンブールで開催された欧州国際教育協会(EAIE)年次総会にて、また11月27日に(公財)大阪府国際交流財団主催の「東日本大震災から学ぶ留学生支援~危機管理と支援の充実化に向けて~」にてそれぞれ報告した。 報告ではガイドラインのみならず、調査・分析結果をガイドラインに反映させたプロセスも明示し、本研究の検証方法や分析結果に対するフィードバックをも得ることが出来た。国内外の留学生教育支援関係者に被災校としての体験や危機管理につき有益な情報提供を行うとともに、ガイドラインに対する示唆に富んだ見解を得ることができ、これらのフィードバックをガイドラインのさらなる改訂に反映させ、最終版の発行に向け準備を進めることが出来た。 また、調査をきっかけに減災・防災をテーマとした国際共同教育を平成26年度後期より実施することで合意した名古屋大学の研究グループと3度にわたり研究会・打ち合わせを行った。テレビ会議システムを利用した合同授業(全学教育、教授言語英語)の内容、進行、授業内の大学間協働プロジェクトの進め方、評価方法等につき協議を開始した。大学を越えた減災・防災教育科目の開講は国内では例がなく先駆的な取り組みとなるため、調査が実践へと結び付いた過程を、平成26年度の留学生教育学会年次総会にて特別分科会を設け報告し、同様の取り組みの普及に努める準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガイドラインの作成については、より完成度の高い成果物に仕上げるために、国内外の学会等で素案を発表してフィードバックを得ることにしたため、当初より完成が若干遅れてはいるが、多様な視点で検証することを重視しての決断であるためいたし方ないと考えている。逆に、調査開始時は想定していなかった他大学との減災・防災を合同授業の実施について、留学生向け減災・防災教育にて先進的な取り組みを行っている名古屋大学と協働が実現する見通しが立ち、本研究が教育実践につながるきっかけづくりになったため、この部分の研究成果は大いに評価出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
留学生教育・支援者向けの「災害発生時の緊急対応ガイドライン」を完成させ、冊子媒体のみならずホームページで広く情報発信する。さらに、これまでの調査・分析・考察結果を論文にまとめ、ポスト震災時の留学生支援、次世代の国際化戦略について整理・検証することで、実務者のみならずアカデミアにおける知識基盤の拡大にも貢献する。首都直下型、南海トラフ地震に備えるためにも、また日本の高等教育機関における留学生教育・支援の質をさらに向上させ、国家の危機にも適応できるサステイナブルな教育・支援を実践するためにも国内外の学会等で積極的な政策提言を行ってゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
留学生教育・支援担当者向けガイドラインの完成度を上げるための改訂作業を引き続き実施することにしたため冊子媒体、HP作成、国内外での発表が持ち越しとなった。 ガイドラインの冊子発行やHP制作に加え、合同授業の準備や成果発表に必要な印刷費、旅費等を中心に支出を行う。
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