2013 Fiscal Year Research-status Report
大学職員を養成する諸外国の大学院に関する実証的研究
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24531054
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
高野 篤子 大正大学, 人間学部, 准教授 (30513048)
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Keywords | 大学管理運営職 / 大学院課程 / 国際情報交換 / アメリカ: イギリス / スタッフディベロップメント(SD) / 専門職養成 |
Research Abstract |
本研究の目的は,教員と協働できる大学職員を養成する諸外国の大学院課程の現状を捉えることにあり,その特徴と効能を検証することにより,日本で大学職員を育成する大学院課程の発展の可能性に関する知見を導出することである。 本研究を進めるにあたり,大学職員という専門性のゆらぎ,またその職員を養成する大学院課程としての正当性のゆらぎを排除することはできない点に留意した。平成25年度は,前年度に引き続き,こうした研究対象の特殊性を考慮し,できるだけ幅広く文献資料の収集を行うとともに,関係者へのインタビュー調査を実施し,諸外国の大学における管理運営職とその職能開発のための教育プログラム全般の比較検討を行った。 具体的には,日本,アメリカ,イギリスにおける学術雑誌,学術書,学術新聞の資料,政府の統計資料等の高等教育関連の文献研究と,渡米および渡英し大学院課程の教員や研究者への聞き取り調査を行った。とりわけ本年度はイギリスの大学院課程の修了生,大学経営のリーダーを養成する団体のディレクター,大学職員の包括的な団体の会長といった大学院課程のステイクホルダーへのインタビュー調査を重点的に実施した。またアメリカにおける大学院課程の基準認定や学生支援の専門職の動向について新たな情報を得ることができた。 以上の活動を通して,イギリスとアメリカにおける大学職員の専門性とその能力開発の状況を比較分析するための枠組みができたので,最終年度では補足資料・データを収集,整理し,まとめていくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に収集した国内外の文献資料およびデータを基に,大学名・所在地・提供組織・授与学位等々の概要を整理し,職員の能力開発を行なう大学院(高等教育プログラム)一覧を作成した。その後,訪問調査し高等教育関係者から得た情報をもとに,大学院一覧を修正し,各大学院における教育活動と教育評価についてさらに資料を収集した。大学マネジメントと高等教育研究のどちらに重点を置いているかという視点から大学院課程の類型化を試みた。 またイギリスにおける教職員の大学間の移動や学位プログラムに関する考え方をアメリカや日本と比較検討することにより,個別大学内における教職員の研修が充実していること,日本ではあまり紹介されていない大学の関連団体が政府主導で設立されていることなど相違点を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究課題に沿った国内外の文献資料を収集し,大学職員の関連団体による研修,すなわち非学位プログラムとの比較検討を重ねる。得られた結果をもとにして,各国に共通にみられる理念とペダゴジーを析出することにより,教育プログラム単位のアウトカム・アセスメントおよび大学院におけるFD(Faculty Development)活動に関する知見,知識基盤社会と言われますますグローバル化する大学における職員の能力開発の方策を検討する。 蓄積した資料・データの分析と包括的考察を行う際には,大学院課程(学位プログラム)のみならず,現職者を対象とした非学位プログラムも射程に入れ,職員の能力開発を行なう大学院課程の学習プロセス,学習成果,存在意義,大学院教育の質保証および学位の国際的通用性,そして日本への応用の可能性を総括する。 これらによって得られた知見を公表し,さらに発展させるために,所属学会での口頭発表,また所属大学でのSDシンポジウムの企画・実施等を行い,最後に報告書にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インタビューを予定していたハワイ大学のトップマネジメント層(senior management team)の教員(高等教育研究者)が別の大学へ移動されたため,当初の計画通り渡米し調査することができなかった。したがって,最終年度にインタビュー調査を実施する計画を立てている。 再度調整し,アメリカのテキサス大学にてインタビュー調査を行う予定である。
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