2014 Fiscal Year Annual Research Report
大学職員を養成する諸外国の大学院に関する実証的研究
Project/Area Number |
24531054
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
高野 篤子 大正大学, 人間学部, 准教授 (30513048)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大学管理運営専門職 / 大学院課程 / 国際情報交換 / アメリカ: イギリス / スタッフ・ディベロップメント(SD) / 専門職養成 / 高等教育研究 / 大学経営人材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,教員と協働できる大学職員を養成する諸外国の大学院課程の現状を捉えることにあり,その特徴と効能を検証することにより,日本で大学職員を育成する大学院課程の発展の可能性に関する知見を導出することである。 本研究を進めるにあたり,大学職員という専門性のゆらぎ,またその職員を養成する大学院課程としての正当性のゆらぎを排除することができない点に留意し,可能な限り幅広く文献資料の収集を行うとともに,関係者へのインタビュー調査を実施した。 日本の合わせ鏡としてイギリスとアメリカの大学における管理運営職とその職能開発のための教育プログラムの比較検討を行った。その結果,日米英3か国ともに大学教員の占める割合は約47%,専門職と呼ばれる大学の管理運営のスタッフは約23%ということがわかった。つまり大学が果たすべき使命・機能は国・地域や設置形態を問わず普遍的であり,構成員が分担する役割や組織構造は類似し,今後も大学職員のすべてが高度専門職化すべきものでもないのである。大学の管理運営に携わる人々の区分を,アメリカでは初級(entry),中級(mid),上級(senior),イギリスでは下位(junior)と上位(senior)と表現している。ただし,トップマネジメントを支える職員は,英米ともに修士号や博士号をもつ人々が増加していた。とりわけアメリカでは大学のリーダーを養成する高等教育を専門とする大学院課程が普及し,職員のキャリアアップに結びついていた。イギリスにおいては日本と同様に未だ高等教育を専門とする大学院課程は数少ないが,国内外における高等教育の政策や実践を批判的に省察できる,内省的なリーダーの養成が目指されていた。そのために,トップレベルの職員を育成する英米の大学院では,ともに論文執筆(アメリカではdissertation,イギリスではBritish thesis)が課せられ,研究が重視されているのは注目に値しよう。
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