2014 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生社会に向けた市民性教育モデルの構築に関する日豪比較研究
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24531060
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
見世 千賀子 東京学芸大学, 国際教育センター, 准教授 (80282309)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 市民性教育 / グローバルシティズンシップ / オーストラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オーストラリアにおいて、多文化市民社会の構築および見識ある行動的市民の育成に向けて、取り組まれているシティズンシップ教育の理論、政策、実践を明らかにすること、および、多文化化の進む日本の学校における多様性への対応と市民性の育成に向けた取り組みとを明らかにすることを目的とする。そして、日豪の取り組みを批判的に比較検討し、それぞれの特質と課題を明らかにするとともに、それらを踏まえた上で、多文化共生社会に向けた日本型の市民性教育の理論と実践モデルを検討し、構築することを最終目的とする。今年度は、特にオーストラリアにおけるグローバルシティズンシップの育成を中心に、調査を行った。オーストラリアでは国レベルにおいて、育成が目指されている7つの汎用的能力の一つに、異文化間理解能力がある。また、いわゆるナショナルカリキュラムにおいては、カリキュラム全体を通底する3つの優先事項のうちの一つにアジアとオーストラリアとの関わりが挙げられている。そこで、州レベルのビクトリア州での調査では、中国に重点をおいた中等教育段階の生徒の短期留学、小・中教員の研修プログラムの拡大、そして、これらの取り組みを通して、グローバルシティズンシップの育成を図ろうとしていることが明らかとなった。他方、学校レベルにおける実践は多様なものとなっていた。例えば、ニューサウスウェールズ州における日本語の継承語教育プログラムにおける取組では、日本にルーツをもつ子どもたちをグローバル市民に育てる授業が実践されていた。こうした取り組みは、日本における外国につながる子どもの市民性教育、日本の市民性教育、海外子女教育における市民性教育の在り方に、重要な示唆を与えてくれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オーストラリアおよび日本における市民性教育の取り組みに関する資料、情報の分析・検討作業が不十分なため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、オーストラリアにおける市民性教育に関する教育政策の最新動向を明らかにするとともに、現有資料の分析作業を進める。また、併せて、日本における市民性教育への取り組みについて資料を分析し、日本型多文化・グローバル市民性教育モデルの検討を進める。
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Causes of Carryover |
2015年1月、オーストラリアからグローバルシティズンシップ教育の実践家を招聘し、研究会を開催する予定であったが、相手側の都合により、来日がキャンセルとなり、開催できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
オーストラリアを訪問し、最新の動向について調査するとともに、市民性教育の専門家にこれまでの研究成果のレビューを行ってもらう。
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