2014 Fiscal Year Annual Research Report
通信制高校の実態と実践例の研究-若者の総合的支援の場としての学校のあり方
Project/Area Number |
24531071
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
阿久澤 麻理子 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 教授 (20305692)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弘田 洋二 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 教授 (60285278)
矢野 裕俊 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80182393)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 通信制高校 / 後期中等教育における学習権保障 / 社会的条件不利 / 広域制通信制高校 / サテライト教育施設 / 技能教育施設 / サポート校 / 学校外における学修の単位認定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、不登校経験者、全日・定時制高校からの中退・転学者の学び直しを支える通信制高校が、学習機会と学力の保障と共に、心理的支援(自尊感情や他者との関係性の回復等)、社会的支援(奨学金や福祉制度などの社会資源につなぎ生活の安定と学業継続を支援すること)、学校から社会への移行支援をどのように行うのかを明らかにした。当初は通信制高校のみを調査予定であったが、広域制では学習センター・技能教育施設・サポート校などのサテライト施設が、日々の生徒の学びを支えていることから、これらも調査対象に含め、高校17(公立9、学校法人立6、株式会社立2)と、技能教育施設7(高等専修学校5、その他2)、サポート校4、その他1の、合計29ヶ所に訪問・聞き取りを実施した。 高校は、自学自習の困難な若年生徒を受入れ、科目設定や指導方法の工夫のほか、登校日数を増やすなどし、公立にも「通える通信制」が増えている。また、各校とも生徒の特別支援ニーズの把握に努めているが、障害・病気等については本人・保護者との信頼関係、プライバシーの問題もあり容易ではない。教育のみならず、適切な進路指導や就労に向けた支援を考える上で今後の課題である。なお、公立の支援体制は、SSWの導入や特別支援学校との連携など公的制度の活用が特徴である。一方、私立学校では、特に広域制の場合、サテライト教育施設が日々の支援を担うが、とりわけ法的根拠がないサポート校は(一部自治体が報告を求めているが)支援体制・内容の網羅的把握が難しい(学習塾・フリースクール・日本語学校・若者支援団体・障害者施設・クリニック等があった)。多様な外部機関が個別にきめ細かい対応をするだけでなく、支援プログラムの一部が「学校外における学修の単位認定」により卒業単位に組込まれているから、個別性の高いこうした活動を質保障の視点から今後どのように評価していくのかが問われる。
|
Research Products
(5 results)