2014 Fiscal Year Annual Research Report
学校の機能分化と同僚性の再構築に関する教育社会学的研究
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24531079
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 同僚性 / 学校組織 / 機能分化 / 教育改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は計画よりかなり遅れているが、最終年度に当たる平成26年は、データ収集に努め、研究のまとめとしてアンケート調査を作成・実施した。 まず「学校の機能分化」の実態について、ATEEに参加した研究者からヨーロッパの教員・研究者への聞き取りを実施した。前年度オンタリオでの聞き取り調査では、教員組合の主導のもとに「職務」の明確化や「本務以外」の活動についての労働条件の交渉などが行われたことについての知見を得たが、こうした「職務」の明確化が、欧米ではどの程度一般化したものであるのかを調べることにあった。 結論から言えば、かつてA.Hargreavesが指摘したように、多くの国ではいまだ個人主義の文化(バルカナイゼーション)が強くまたそれを機能分化という用語で示せるかどうかは重大な問題であることがわかった。というのは、機能分化は<経営>的発想であり、個人の所掌範囲がある程度明確であっても、学校においてそれが相互に関連付けられ、<機能合理的な組織>どうかは必ずしも一致しないからである。 すなわち、集団主義(日本)と個人主義(欧米)という、教員集団の原初的相違はあっても、双方とも、近年の新自由主義的な改革の中で、《機能》という概念に示すように、全体の中に序列づけられ整除されていくという状況にあるのではないかと考えられる(オンタリオの状況はその意味で、教員側からの反応も含め、先進的である)。 こうした聴き取りの知見をまとめるとともに、年度末になってしまったが「「教育改革と教師の仕事に関する調査」を実施し(小・中学校教師対象)、現在その分析を進めているところである。
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Research Products
(4 results)