2012 Fiscal Year Research-status Report
児童の性格要因とQ-Uから見た学級経営の視点からの小学校外国語活動研究
Project/Area Number |
24531097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 博晴 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (40235388)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 外国語活動 / 学級風土 / hyper-QU / ソーシャルスキル / 性格5因子 |
Research Abstract |
研究1年目の今年度は、2年目の本調査に向けて仙台市内にある小学校の5年生・6年生を対象に予備調査を行った。予備調査で明らかにしたかったことは、1)外国語活動と他教科との関わり、2)学級風土が外国語活動に与える影響、3)ソーシャルスキルと外国語活動の関係である。1)の結果であるが、外国語活動は、道徳・特別活動・学級会活動・音楽・図工などと強い相関がみられた。2)のところでも触れるが、支持的で道徳的素養が育った学級を作り上げることが外国語活動の成否にかかわることがうかがえる。また、学力が反映されやすい主要教科ではなく、実技科目とのかかわりがみられた。これらの相関関係は体験的に外国語に慣れ親しませ、外国語についての暗示的な知識を涵養することを目的とする外国語活動の特徴が表れたものと言える。さらには主要科目では、言語を扱う国語とのみ相関が確認された。この結果も外国語活動の特徴を表すものとして興味深い。次に2)の結果であるが、hyper-QUを使った調査から、学級に満足している児童ほど外国語活動を肯定的に評価していることが分かった。先の他教科との関係でも触れたが、外国語活動を行う上での学級経営の重要性がうかがえる。3)の結果であるが、同じくhyper-QUを使い調査したが、ソーシャルスキルが高い児童ほど、外国語活動に積極的に関わっていた。またその中でも特に、他者に対する配慮ができる児童ほど、外国語活動を好意的にとらえる傾向が見られた。外国活動からは少し外れるが、ソーシャルスキルが高い児童は他の教科科目に対しても肯定的な態度を示すことが分かった。本調査では、学級風土以上に教科学習に影響を与える要因となっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目の研究計画として挙げていたものは、1)先行文献調査・資料収集、2)5因子性格質問紙の選定、3)調査依頼校の選定・打ち合わせ、4)予備調査の4点である。4)に関しては先の研究実績の概要で述べたとおりである。2)のところにもかかわるが、予備調査段階で、妥当性・信頼性が確認されている小学生用に開発された5因子性格質問紙を使ってデータを収集したが、その解析が終わっていない。本調査に入る前に、早急に解析を進め、性格要因が外国語活動及び学級風土の形成に与える影響を明らかにしたい。1)に関しては順調に資料の収集にあたっている。3)に関しては、宮城県内の一般小学校2校、同じく宮城県内の小中一貫校1校、山形県内の一般小学校1校、計4校から年2回、hyper-QUを使った調査に入ることへの了解を取り付けている。被験者数は810名になる予定であり、先行研究でのデータを加えると当初予定した最低1000名の被験者数は確保できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度の中でも述べたように、事前調査の中でまだ終了していない性格要因に関するデータの解析をまず進める必要がある。それを踏まえ、本年、本調査に入るが、hyper-QUを使用した1度目の調査を、新年度を経て学級経営が一応の安定を見る6月を予定している。そして2度目の調査は、学級の人間関係に変化が見られると考えられる半年後の12月を考えている。2度目の調査の時には性格5因子によるデータの収集も行う。調査時期については初年度、調査依頼校の了解は得ているが、人事異動等があり、各学校の新たな指導部との打ち合わせを4月中に行うこととしている。データの分析に関しては、1回目の分については8・9月の夏休み中に学生アルバイトを利用して行う予定である。同じく2回目のデータについても学生アルバイトを使い2月後半から3月の春休みにかけて行う。先行文献の調査や資料の収集については、1年を通じて恒常的に行っていく。また、研究の中間発表として、これまでに得たデータに基づいた成果を、7月に沖縄で行われる小学校英語教育学会か、8月に北海道で行われる全国英語教育学会のどちらかで発表する予定である。さらには1年目同様、2年目の成果を、所属学会である東北英語教育学会や全国英語教育学会の研究紀要に投稿・掲載を目指したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、1年目の研究費繰越金30万円と次年度分合わせて110万円となる予定である。現在使用が確定している分は、hyper-QUの使用に充当する680,400円である(単価420円×810名×2回分)。同じく、5因子性格要因質問紙の使用料として170,100円も確定している(30名分1セット6300円、27組セット必要)。残りの25万円に関しては、データ処理にあたる学生アルバイト料として10万円を、また学会旅費・資料収集料として15万円の使用を予定している。
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