2013 Fiscal Year Research-status Report
児童の性格要因とQ-Uから見た学級経営の視点からの小学校外国語活動研究
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24531097
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 博晴 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (40235388)
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Keywords | 外国語活動 / 学級風土 / hyper-QU / ソーシャルスキル / 性格5因子 |
Research Abstract |
1年目の予備調査に続き、2年目の昨年度は本調査を行った。調査対象としたのは、仙台市内の中規模小学校2校の5・6年生5クラス、及び東北地区で小中一貫教育の特区を受けている1校の4年生から中学1年生までの8クラスである。質問紙として使用したのは、学級の状態と児童・生徒個人のソーシャルスキルを測定するhyper-QUと、児童・生徒の性格要因を測定する(小学生用)主要5因子性格検査(The Big Five Personality Inventory)、及び12教科に対する好き・嫌いを尋ねる質問紙である。調査回数及び時期は、新学期が始まりまだ学級の状態が定まっていない4月と学級風土がほぼ確立したと考えられる12月の2回である。データの分析は、最初の調査時に行われたhyper-QUと12教科に対する好き・嫌いの関係に止まっている。結果は、外国語活動と道徳や特別活動などの教科外科目との間に相関が見られた。また教科との関係では、特に国語科との間に相関が見られた。この結果はおおむね予備調査の結果と同じものとなったが、データ数が増えたことにより相関の強さやその傾向は、予備調査のものより弱いものとなっている。また、学級経営と外国語活動の関係でも予備調査同様、所属するクラスに満足している児童ほど外国語活動に好意的に取り組んでいることが分かった。ソーシャルスキルとの関係も予備調査同様、このスキルに優れた児童の方が外国語活動を楽しんでいた。予備調査では見られなかった結果としては、教師が管理的な学級経営をしているクラスでは、国語科以外に数学科や社会科、理科などの教科科目と外国語活動の間に相関が見られ、逆に多くのクラスで見られていた道徳や特別活動との間には相関は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の本調査及び昨年度までの予備調査を通じて、目標としていた1,000名を超える被験者からデータを収集できたが、その処理はhyper-QUから読み取れる学級経営に関する部分とソーシャルスキルに関する部分、及び12教科に対する好き・嫌いの部分の予備調査分と本調査の第一回目の部分にしか及んでいない。本調査は、学級経営、性格要因、外国語活動への取り組みといった3者も関係を明らかにするために計画されたものである。性格要因に関する分析はまだ行われていない。また、本調査2回目のデータに関しても分析は行われていないため、現在までの到達度は、やや遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの到達度の反省でも述べたが、1,000を超える被験者のデータ処理がその一部分にしか及んでいない。特に、性格要因に関するデータに関しては、全く手つかずの状態である。本調査は、学級風土、性格要因、外国語活動への取り組みの3者の関係を明らかにするものである。調査対象とした3つの学校の内まず1校に焦点を当て、3者の関係を明らかにしたのち、筆者が所属する全国英語教育学会または小学校英語教育学会で発表・議論を通して3者の関係に関する筆者なりの意見をまとめたい。その後、その考えを背景にしながら残りのデータの分析にあたり、最終年度である本年度の年度末までには新たな考察を加えた形での報告書の完成を目指したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度の研究費は、昨年度繰り越し分を含め25万程度になる予定である。データ数に関しては目標を達成しているので質問紙を新たに購入する予定はない。現時点での急務は、これまで手つかずだった生データの分析にある。そこで、データ処理の補助にあたる学部学生・大学院生の数を2名から3名に増やす予定である。 学生へのアルバイト代金として10万円程度を見込んでいる。残り15万は成果報告を予定している学会への旅費・宿泊費としての使用を考えている。
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