2014 Fiscal Year Annual Research Report
小学校算数科・中学校数学科における乗法概念領域の教授・学習に関する臨床的研究
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24531098
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
市川 啓 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (20624745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田端 輝彦 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (80344745)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育学 / 教科教育学 / 数学教育学 / 乗法概念領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
乗法概念領域とは、乗除法や割合、比、比例等を含む概念間のつながりを捉えた枠組みである。倍や比例、乗除の概念が複雑に絡み合った第5学年における「同種の量の割合」の教授・学習に着目し、「比例を仮定して,かけたりわったりすること」が子どもの中でどのように認められていくのかについて、臨床的に明らかにすることを試みた。「バスケットボールのフリースローの場面で10回投げて8回入った日と同じ調子だとしたら、15回投げたとき何回はいると考えればよいか」を中心的な問題として実験授業を行い、次の3点を明らかにした。 ① 投げた数同士の関係が整数倍のときは、投げた数と入る数に倍比例の関係を認めても、小数倍になったとき、比例関係を認められない児童が存在すること。また、認めているように見えても実際は形式的に整数を小数に置き換えているだけの場合があること。 ② そのような子ども達は、(投げた数、入った数)と表した数対(10、8)の公約量となる数対を整数の範囲の等分比例の関係に基づいてつくり、その数対をもとにして、整数の範囲での倍比例によって構成した(15、12)が、小数倍の倍比例に基づいてつくりだした数対と一致することを確かめる過程を踏むことで、小数倍まで拡張した比例関係を認めることができたこと。 ③ 公約量の数対をつくる際に、整数の範囲の等分比例でも、簡単には認められるとは限らないこと。そこでは、均質性への着目が重要であり、具体的には全く同じ事象の繰り返しと見られたときに等分比例を認め、これによって分割された事象とはじめの事象が「同じ調子を表していること」が理解できること。 全国学力学習状況調査の結果等から、割合や乗除の意味理解が学習指導上の課題として指摘され続けている。上記の成果は、その改善を考えるために一定の役割を果たすことができると考える。
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