2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24531101
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
八木 正一 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70117026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 健次 茨城大学, 教育学部, 教授 (10274565)
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Keywords | 民族音楽学習 / 異文化理解 / 国際理解 / 音楽科 / 授業プラン |
Research Abstract |
前年度の、東アジア、東南アジアのわが国における教材化の現状調査、さらに、台湾での音楽調査をふまえて授業プランを作成した。プランは中学校3年生を対象としたものである。このプランの作成に関しては、同じく前年度に明らかにした授業構成の視点にそって作成したものである。その視点とは、対象となる民族や国家において現在どのような音楽活動が営まれているか、それはその文化の過去やそれを取り巻く世界とどうかかわっているか、それらの相互作用はどのように生起しているか、そしてそれにわれわれ日本人はどうかかわり、お互いをパートナーとして新しい音楽文化を生み出す可能性はないかというものであった。これは現在の民族音楽指導の基本的な考え方である文化相対主義を克服ための視点でもある。中学3年生を対象としたこのプラン「台湾と日本」は、「理解する」「交流する」という二つのパートから構成されており、13枚のプリントによって学習を進める形で作成した。このプランは、対象となる民族や国家の音楽を体験して異文化を理解しようとする現在の一般的な民族音楽指導の課題克服への視点を提供するものであり、音楽学習学会で発表し評価をえた。さらに、マレーシアの調査においては、東南アジアにおける民族音楽に対する考え方が、かなりフレキシブルで現代や様式の異なる音楽との融合について抵抗があまりないことが判明した。ともすれば民族音楽を固定的に考えがちなわが国の現状を打破する上で、重要な視点となることも明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度においては、前年度に提示した、民族音楽指導の視点をふまえ、収集した台湾音楽の教材化を実際に行った。民族音楽指導の視点とは、異なる文化圏において、現在どのような音楽活動が営まれているのか、そして、それはその文化の過去やその文化を取り巻く世界とどう関係しているのか、また過去や取り巻く世界との相互作用がどのように生起し、現在の音楽活動となっているのか、私たち日本人はそれとどうかかわり、そこからお互いをパートナーとして新しい音楽を生み出す可能性はないのかという視点である。これらは文化相対主義を超える視点として位置づくものである。 こうした視点をふまえて、平成25年には、実際に台湾音楽を指導するプログラムを作成し、音楽学習学会において「民族音楽指導の基本的視点と授業構成」というタイトルで口頭発表を行った。これらから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度最終年度においては、引き続き教材化のための民族音楽調査を進めるとともに、平成25年度に作成したプログラムをさらに精査し、授業で使えるものに仕上げていく。同時にこれらを論文としてまとめ発表することによって、授業プランの公表を行い、民族音楽指導の一助とし、本研究の最終目的を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として予定していた台湾をはじめとした東アジア、東南アジアの音源(CD等)の入手が難しいことによって次年度使用額が生じた。また、教科調査官などによる専門的な知識の供与について、予定が合わず実行ができず謝金について次年度使用額が生じた。その他、予定していた調査について、若干の未実行分が残り、これらの結果として次年度使用額が生じた。 音源については、再度現地調査を行うことによって確保したいと計画している。また、実験授業などをさらに十全に行うために次年度使用額を有効に支出する計画である。
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Research Products
(6 results)