2013 Fiscal Year Research-status Report
国語科教育における語彙教育の実践史研究~実践の生成過程を明らかにするために~
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24531106
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中村 和弘 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50511185)
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Keywords | 語彙教育 / 倉澤栄吉 / 東京都青年国語研究会 / 実践史研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小学校における国語科の授業実践として、倉澤栄吉氏の指導のもとで特色ある語彙教育を展開した東京都青年国語研究会(青国研)による「語い指導」実践の成立過程を、実践史研究という方法論によって明らかにすることである。 「語い指導」の実践は、昭和49年度から20年間にわたって、数年ずついくつかの研究主題を設定して取り組まれたが、当該年度においては、昭和54~55年度に取り組まれた「ことば遊び的手法を取れ入れた語い指導の研究」に焦点を当て、その内実について次の2点から考察した 1.青国研の「語い指導」は、語いを語感・語形・語義、歴史性・位相性・機能性からとらえることができるとしたこと。合わせて、そこには実践上の課題があり、特に「歴史性」「位相性」に目を向けた語彙教育を具体的にどのように展開させていくのかという、学習指導上の課題を抱えながら試行錯誤していたこと 2.同時に、そのことが、授業の中に積極的に「ことば遊びの手法をとりいれる」という、実践上の工夫を産み出すことにつながったと考えられること。倉澤は、歴史性に着目した「語い指導」が「国語学史の受け売りをしているようになりがち」になる点を危惧し、発見学習や創造学習を取り入れた実践の工夫などを提唱しており、「ことば遊びの手法」はそうした実践上の工夫の文脈に位置づけられるということ
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、東京都青年国語研究会による「語い指導」実践の成立過程を5つの時期に区分してとらえ、その取り組みの全体像を明らかにすることをゴールとしている。 25年度は、第3期(「語い指導の発想による文字指導」)の実践の分析を終えるとともに、現在(2000年以降)の語彙教育研究の進展についても資料の収集と整理に取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は第4期となる「個別学習に根ざす指導」期(昭和60~平成元年度)の実践の分析をもとに、第5期となる「生活に根ざす指導期」(平成2~5年度)への実践の展開過程を明らかにし、20年間にわたる「語い指導」の全体像をまとめ直す作業に取り組みたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に物品費として計上していた関連書籍の購入が限定されたこと。これは、年度途中に行われた研究棟改修工事に伴う研究室の移動のため、新規購入図書の置き場の確保が難しく、予定の書籍が購入できなかったことから生じたものである。また、旅費についても学会会場への移動が鉄道利用で済んだことなどにより生じたものである。 次年度においては、主に25年度に予定していて購入できなかった関係研究書籍を購入する予定である
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