2012 Fiscal Year Research-status Report
「読解力」育成材としての絵本の有効性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24531133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山元 隆春 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90210533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 絵本 / 理解方略 / 学習材 / 読解力 / 読書 / 読書教育 |
Research Abstract |
平成24年度の研究では、主として英米の理解方略指導論・絵本論・絵本教育論の検討を行った。全国大学国語教育学会筑波大会では「理解方略指導の具体的展開―The Comprehension Toolkitを手がかりとして―」という題目で、米国における理解方略(comprehension strategies)指導のための道具箱(toolkit)の内容を分析した。「推論する(inferring)」という方略について、その指導の実際を翻訳し、分析・考察した。理解方略指導の具体的なありように迫ることができた。この理解方略指導の研究成果を中学校国語科教師とともに応用しながら授業研究を行い、絵本『おおきな木』などを学習材として読書活動に生かす道を探った。また、全国大学国語教育学会富山大会では「「読解力」育成に果たす絵本の役割―米国における実践的提案を手がかりにして―」と題して研究発表を行い、米国の新しい学習指導要領に対応しながら、絵本を使った理解指導を提案した文献を分析・考察した。米国の新しい学習指導要領に取り上げられている「文学的要素」の指導を、円滑にすすめるためのアイディアを取り上げ、そこに提案されている指導法の分析・検討を行った。いずれも本年度の研究で明らかになったことの一端を公表したものである。米国の読み・書き教育において絵本を活用することを提案した文献も、上記考察で取り上げた以外に収集し、さらに考察を加えている。さらに、機会を得て、韓国の国際フォーラムで、附属学校の教師・児童の協力を得て行った絵本『スイミー』を扱った授業研究方法について、招待講演を英語で行い、研究交流を行うこともできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従いながら、国内外の国語教育学や読書教育学における絵本研究関連の文献をもとに、主として絵本に関する読者反応研究の成果を「読解力」育成の手がかりとして分析・考察し、その成果の一部を学会等で発表した。また、研究の成果を教育現場での読書活動の方法の開拓に生かし、その成果の一部を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
絵本が「読解力」育成材として持つ有効性を探るための調査や授業実験を実施し、その内容の分析・考察を行う。その分析・考察のために国語科授業論・教育方法学・教育心理学に関する文献が一定量必要になる。また、調査及び授業のためには、調査協力者に行き渡るだけの絵本が複本として必要となる。 調査及び授業の成果をもとにしながら、「読解力」育成材としての絵本の有効性を探ることになる。そのために絵本に関する読者反応研究や読書教育研究の最新の文献を入手し、考察を進めたい。またブッククラブやリーディング・ワークショップに関する授業書を入手して検討、分析する。 絵本と子ども読者との関係性に着目し、そのかかわりあいの実相を明らかにし、絵本が「読解力」育成に果たす役割を考察しようと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「理解方略」を子どもの身につけさせるために絵本を学習材として取り上げ、その経験を生かしたプログラムを提案した文献を収集してきた。本科研のテーマにかかわって興味深い内容であり、分析・考察を進めているところであり、次年度以降研究成果を公表したいと考えている。文献は継続して収集しているため、とくに外国文献は年度内に入手が間に合わなかったものがあり、そのため次年度以降使用予定の研究費が生じた。次年度以降購入予定の文献のための研究費とあわせて、文献収集を継続し、その分析・考察を進めたい。
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Research Products
(7 results)