2012 Fiscal Year Research-status Report
創造的問題解決力の育成を図る数学授業モデルの開発と教師教育への適用
Project/Area Number |
24531136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
秋田 美代 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80359918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 昇 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (60221256)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 各教科の教育 / 算数・数学 / 創造的問題解決力 / 授業モデル / 教師教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は,研究代表者らがこれまでに明らかにしている算数・数学教育における創造性発揮の阻害要因である「問題解決における思考の一時的滞留」を打開する教材の作成を行うとともに,学校数学において学習者の創造的問題解決力の育成を図るための数学授業モデルの開発を行うこと,及び数学教育の質の向上を図るために開発した数学授業モデルを軸として算数・数学科担当教員の授業実践力を向上させる手法を構築することである。 この研究目標を達成するために,平成24年度は,算数・数学学習における創造的問題解決力創出の詳細な過程を明らかにすること,その分析結果を基にして「問題解決における思考の一時的滞留」を打開するための教材の作成を行うとともに数学授業モデルの構想を立てることを中心に研究を行った。 その具体的な内容は,次の通りである。 ①算数・数学学習における創造的問題解決力創出の詳細な過程を明らかにするために,学習者の問題解決力と問題の背景にある数学についての理解との関係についての調査・分析と国外の創造性育成に関する状況調査,及び資料の収集を行った。②①の結果を基にして,児童生徒の創造性を高めるための数学授業モデルの開発と算数・数学科担当教員の授業実践力を向上させるための手法の構築の準備として,算数・数学学習における創造的問題解決力創出過程を分析すること,「問題解決における思考の一時的滞留」を打開し,創造的問題解決力を高めるための算数・数学教材を開発すること,研究分担者と協議して,算数・数学学習において児童生徒の創造的問題解決力を高めるための数学授業モデルを構想することを行った。 これらの研究活動から得られた成果については,国内外の学会での研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,学習者の創造的問題解決力の育成を図る数学授業モデルの開発し,さらに開発した数学授業モデルの適用を効率的に展開するために,3年間の研究期間で,次の①~⑤の内容を実施する計画を立てた。①創造的問題解決力創出過程を解明すること。②「問題解決における思考の一時的滞留」を打開する教材を作成すること。③創造性を育成するための数学授業モデルを開発すること④算数・数学科教員の授業実践力構成要素を同定すること⑤算数・数学科担当教員の授業開発力・授業実践力の向上手法を確立すること。 平成24年度は,主に①~③についての研究を進めた。①の創造的問題解決力創出過程を解明することについては,学習者が学校数学において知識をいつどのように活用するかについて,算数・数学の授業を創造的問題解決力創出過程という視点から分析し,解法の背景にある数や図形の性質や関係の理解が数学を活用する力に大きく影響を与えることを明確にした。②の「問題解決における思考の一時的滞留」を打開する教材の作成については,教材の要件を同定し,小学校の学習内容である「図形の面積」と中学校の学習内容である「作図」を題材として教材を開発した。③の数学授業モデルの開発については,①,②の成果を基に,学習過程を知識の獲得過程と知識の活用過程との2つの過程でとらえ,それぞれの過程ついて学習者の問題解決力を高めるための有効な方法はどのようなものであるか協議を進めてきた。 研究計画は,当初の研究計画通り順調に進んでおり,これまでの研究活動から得られた成果については,国内外の学会での研究発表を行った。 研究の進捗状況から判断して,残された研究期間の間に,③の数学授業モデルの開発,④の算数・数学科教員の授業実践力構成要素の同定,⑤の算数・数学科担当教員の授業開発力・授業実践力の向上手法の確立を行い,確実に研究目標の達成ができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,平成24年度から構想を始めた数学授業モデルを完成させるとともに,複数の学校で試行し有効性の検証を行う。そこでは,次のような研究計画で,研究を推進する予定である。①平成24年度から構想・協議を行っている数学授業モデルの開発を引き続いて行い,できるだけ早い時期に完成させる。②開発した数学授業モデルを複数の公立学校で試行する。③数学授業モデルの試行の際に収集したデータを基に,数学授業モデルが,学習者の算数・数学の理解力及び活用力の向上,算数科・数学科担当教員の指導力の向上にどのような効果があるか,有効性の検証を行う。また,学習者の学習効果果を一層高めるには数学授業モデルをどのように修正・改善すればよいか等を分析し,改善を加える。 平成26年度は,教員の授業実践力の構成要素の同定を行い,教員の授業開発力・授業実践力を向上する方法の確立を行う。そこでは,次のような研究計画で,研究を推進する予定である。①算数・数学科担当教員の授業実践力を科学的・客観的に捉えるために,授業実践力の構成要素を同定し,授業実践力を客観的に評価するための測定・評価用具を作成する。②平成25年度に開発する数学授業モデルを基に,教員が学習者の発達段階や理解状況に合わせて適切に授業を修正・改善できるように,数学授業モデルを軸にした教員の授業開発力・授業実践力を向上させる手法を確立する。また,学校教育における教員の指導力の重要性から,開発した数学授業モデルや教員の授業開発力・授業実践力を向上させる手法は,大学・大学院における教師教育への適用までを含めて考える予定である。 なお,平成25年度・26年度の研究活動から得られた成果については,順次,国内外の学会での口頭発表,学会誌への投稿等を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)