2012 Fiscal Year Research-status Report
小・中・高一貫の「伝統的な言語文化」教育カリキュラムに基づく授業創造に関する研究
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24531141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
渡辺 春美 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (10320516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨安 慎吾 島根大学, 教育学部, 講師 (40534300)
信木 伸一 尾道市立大学, 芸術文化学部, 教授 (40549870)
武久 康高 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (70461308)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 「伝統的な言語文化」の教育カリキュラム / 小・中・高一貫 / 授業モデル提示 |
Research Abstract |
平成24年度の研究は、発達段階、学年進行、小・中・高の校種を考慮し、1.教科書教材の研究、2.教材の開発・選定・編成の研究、3.伝統的な言語文化の学習のための言語能力の研究、4.授業方法・目標論の研究を活かして「伝統的な言語文化」のカリキュラムの作成を行うことを目標とした。実施状況は、以下の通りである。25年度は、本年度の研究を活かし、小・中・高一貫のカリキュラムを作成し、それに基づく学習指導案を作成し、授業を実際に行いたい。 1.教科書教材の研究については、伝統的な言語文化に関する古典教材の出典、範囲、学習の手引きを調査した、その結果、小学校から中学校にかけて、リズムや調子に親しみ、古典の音読・朗読を通して、古典に楽しませる学習指導から、場面と人物の理解、内容や論理の理解に関する学習指導、および学習者自ら感想、意見を持ち交流することで理解を深めさせる学習指導へと展開されていることが把握できた。 2.教材開発・選定・編成の研究は、小・中・高の各発達段階において、学習者はどのような興味・関心、問題意識を持っているかを、アンケートによって捕らえることによって学習テーマを抽出し、それに基づいて教材開発・選定・編成を行うことにした。高等学校に関しては、自然・愛・生死・ことば・状況・人間性などをテーマとする教材開発と編成を一部試みた。 3.言語能力の研究は、特に高等学校を対象として①知識(文法・表現・有職故実・時代背景等)、②技能(音読朗読力・概要把握力・心情把握力・展開把握力・主題把握力等)、③態度(親しむ態度等)に分け学年ごとに措定することを行った。 4.カリキュラムの作成に関しては、学年ごとに、学力(知識・技能・態度)育成、認識の深化を目指して、高等学校3年間のカリキュラムの試案を作成し、一部については指導案を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的達成のために、24年度は、1.教科書教材の研究、2.教材の開発・選定・編成の研究、3.伝統的な言語文化の学習のための言語能力の研究、4.授業方法・目標論の研究を活かして「伝統的な言語文化」のカリキュラムの作成を行うことを目標とした。 「1」に関しては、小・中について行った。高校については、新学習指導要領に基づく教科書の活用が25年度からであることから留保した。 「2」に関しては、小・中・高で、児童・生徒の興味・関心・問題意識把握のためのアンケートを実施し、結果に基づいて開発・選定・編成を行う予定であったが、時間的な余裕が無く、アンケートの分析考察に基づき単元学習のテーマを設定するまでには至らなかった。 「3」に関しては、「研究実績の概要」で述べたとおり、基本的な学力要素については抽出し、高等学校においては、学年ごとに習得すべき学力を系統化したが、小・中に関しては骨格を提示したに止まった。この理由には、高等学校については過去の研究の蓄積があるが、小中では、本格的な研究がこれまで乏しかったことにもよる。 「4」に関しては、授業方法を古典教育方法及び理論史の研究から適用する方法を抽出したが、目標論については「1」「2」「3」にも関わっており、その研究の進行に待つ必要があったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは、24年度研究予定であった研究を進め、25年度の研究の基礎を確立する。すでに研究の分担はできており、総合的な共通理解を深めて25年度の研究につなげる。 25年度は、伝統的な言語文化の教育カリキュラムに基づき、小1~6年生、中1~3年生、高1~3年生の学習指導案を、以下を工夫して作成する。ア.学習者を学習主体として学習指導を行うこと、イ.学習者の興味・関心を育て、実態に即した教材化を行い、学習者と教材との出会いを効果的にすること、ウ.教材と学習者との関係性を強めること、エ.学習者が主体的活動を行い、教材との関係性を強める場が設けられること、オ.主体的な学び手の育成のために、学びの方法を学ばせ、身に付けさせる場を設けること、カ.創造的な学習の場を設けること。 また、児童・生徒の実態に基づき、適切な教材の開発、編成のほかに、授業作りの 基本として、授業の、ア.個別化、イ.活動化、ウ.協同化、エ.創造化 オ.発展化を考えたい。平成25年度は、特に小学校1・3・5年生の授業を、高知大学教育学部附属小学校と公立小学校で、中学校1・2年生についても同様に、高知大学教育学部附属中学校、公立中学校で、また、高等学校1・2年生の授業を広島大学附属福山中・高等学校、および公立高等学校で実践を進める。授業実践を考察することによって、指導案、カリキュラムの検討、修正を行うことにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度に繰り越した研究費は、公務に重なり、学会への参加、発表ができなかったことに主な理由がある。25年度は、24年度の基礎研究の発展として、上記したとおり、実践研究を行う計画である。そのために、①書籍・資料など参考文献の購入、収集、②研究協議(打ち合わせ)、学会参加・発表費、授業担当者との打ち合わせ、および謝金に充当する予定である。
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Research Products
(16 results)