2013 Fiscal Year Research-status Report
他者との関係構築的な社会認識形成を評価する中学校社会科のペーパーテスト開発
Project/Area Number |
24531143
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
豊嶌 啓司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (90380378)
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Keywords | 社会科 / ペーパーテスト / 関係構築 / 市民的資質評価 / パフォーマンス評価 / 中学校 |
Research Abstract |
平成25年度は,まず,前年度に析出した「社会の形成者としての市民的資質」評価の基盤となる,社会科固有の「『かかわりの知』による関係構築的評価枠組」の三要素を関連性,他者性,状況性の縦軸にとり,さらに社会科固有の資質・能力を身に付けた生徒像を思考及び行動レベルの具体的な様相として評価が可能となるよう,パフォーマンス評価の三要素,原理と一般化,本質的な問い,永続的理解を横軸にとり,これらを統合した「関係構築的な社会認識形成の評価枠組」を明らかにし,評価問題作成の枠組を確定した。これをもとに,定期考査,入学試験,学力調査等での実用を想定して,カリキュラム上の評価様態,学力の評価範囲,核となる評価要素などから直接内容準拠評価と再構成探求評価の二つに社会科パフォーマンス評価の性格を分類し明らかにした。これらをもとに,典型的な評価問題事例を具体的に開発し,関連学会の自由研究発表にて報告した。試行実施して得られたデータをもとに,通過率,正答・誤答例等の予備分析中である。以下の関連学会発表に関する資料をWebにて公開し,中間報告とした。 (URL)http://f-syakaikajissen.sakura.ne.jp/li_dao_qi_sike_yan_bao_gao/ke_yan_bao_gao.html 第62回全国社会科教育学会研究大会,2013年11月10日,山口大学,自由研究発表「パフォーマンス評価による中学校社会科のペーパーテスト開発「社会の形成者としての市民的資質」を評価するペーパーテストの可能性」豊嶌啓司 他 第24回教育目標・評価学会研究大会,2013年12月1日,滋賀大学「パフォーマンス評価による中学校社会科のペーパーテスト開発「社会の形成者としての市民的資質」を評価するペーパーテストの可能性」豊嶌啓司 第25回社会系教科教育学会,研究発表大会,2014年2月8日,大阪教育大学,自由研究発表「他者との関係構築的な社会認識形成を評価する中学校社会科のペーパーテスト開発(2)」豊嶌啓司 他
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「活用」,「言語活動の充実」,新観点「思考・判断・表現」,「社会の形成に参画」,公民的分野「対立と合意,効率と公正」など,本研究課題と重なる要素が多い新教育課程にて出題された高等学校入試問題及び中学校現場での定期考査等を対象にサンプル収集,アンケート調査等の分析が可能となり,これらから析出された課題をもとに,パフォーマンス評価の要素を加味しつつ,本研究での評価問題作成の枠組を確定し,想定する類型ごと複数の評価問題事例に具体化できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,前述分析の結果から問題事例の修正及び事例数の充実を進め,中学校の定期考査の一部として,また都道府県立高校入学試験での学力検査問題の一部としての実用を想定して,地理・歴史・公民各分野の「他者との関係構築的な認識形成」として具体化された問題事例を開発し,可能な範囲で実施して得られたデータをもとに,通過率,正答・誤答例等の分析から,開発した問題事例の妥当性及び信頼性を検証し,最終報告書により広く提案する。 1.各分野・学年を踏まえたペーパーテスト開発及び実施,2.ペーパーテスト開発・検証の報告及び修正,3.最終報告書執筆に向けて,報告書構成・分担の確定,4.関連学会での発表及び論文投稿による成果報告,5.最終報告書原稿執筆,6.最終報告書配布による成果報告
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では,本年度までに,高等学校入試問題や中学校現場での定期考査での社会科ペーパーテスト事例の分析を通して「市民的資質の指導と評価の実態及び課題」を明らかにし,「社会科の方法原理(依拠する認識論や社会構築論等)」及び「パフォーマンス評価」の諸要素を関連付けた,社会科固有の「「かかわりの知」による関係構築的評価枠組」を提案のうえ,それに即した具体的な問題事例を中間報告として冊子にまとめる予定であった。しかし,来年度予定する最終報告書と多くの重複部分が予想されるため,冊子作成は最終報告書のみとし,中間報告はウェブによる報告に替えたため。 「社会科の方法原理(依拠する認識論や社会構築論等)」及び「パフォーマンス評価」の諸要素を関連付けた,社会科固有の「「かかわりの知」による関係構築的評価枠組」に即した問題事例開発が,中学校社会科における地理的分野・歴史的分野・公民的分野それぞれにおいて質・量とも充実したものとなるよう,現地調査,資料収集,関連学会・研究会での発表及び情報収集等といった充実を図るとともに,来年度作成する最終報告書冊子がより充実したものとなるよう使用を計画している。
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