2012 Fiscal Year Research-status Report
ライフヒストリーインタビューによる美術科教員の長期的な職業適応プロセスの解明
Project/Area Number |
24531149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
荷方 邦夫 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 准教授 (40347357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 信州大学, 教育学部, 准教授 (20467195)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 職業適応 / 美術教育 / 質的研究の方法 |
Research Abstract |
研究者は,科学研究費補助金における研究活動の1年目となる本年は,芸術系大学出身の美術科教員が,どのようにして教員としての職業適応を達成しているかについて解明するため,教員へのインタビューを中心に行った。特に,ライフヒストリーのような質的データを分析する手法の開発に必要な要件がどのようなものかについて焦点を当てた検討を行なっている。 研究の実際的な活動としては8月には,芸術系大学を卒業して3~4年目の教員2名にインタビューを実施し,調査資料となるヒストリーデータを得た。教員としての職業適応については,芸術科という表現の現場に身を置き,児童や生徒の表現活動を一人の美術関係者として関わり,表現されたものの良さや喜びを見出して成長を実感し,そこに意義を見出すことによって達成されやすいことが示唆された。これらをもとに,研究の中間報告となる発表を,11月に沖縄で開催された日本教育心理学会総会で行った。この他,今年度は日本における美術教育に関する文献資料の収集を積極的に行い,その蓄積に研究のエフォートを割いている。 研究分担者は同様に,分析手法の改善を目的とするため,美術科教員にかぎらず広く教員を目指す学生に対し,半構造化面接と時系列的分析による検討を行った。これについては,研究計画で検討対象とした等至性モデルとよばれる分析手法の妥当性について検討が行われ,等至性モデルの有効性,方法としての留意点などが検討されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者についての研究状況は,申請書のとおり進めている。インタビューによって得られたデータの分析方法については,24年度に分析手法の再検討も含めた検討を行い,その結果については日本教育心理学会大会において研究発表を行った。 また,24年度の計画であった予備調査データの分析は,計画通り進行している。また,24年度に新たに調査を追加し,さらにデータの収集を行った。これについてもデータの分析は終了しており,研究は概ね順調に進んでいる。 新たなインタビューの実施と分析は,25年度を中心とした計画であったが,既に先行してインタビューの着手は行われているため,この点に関しては進展が早いものと判断することができる。 また,研究分担者についても,同様に進行していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,検討および修正した分析方法にもとづいて,インタビューの実施をさらに遂行することにしている。特に今年度は,教員歴の長い教員について,長期的なライフストーリーの中での適応過程について,より多くのデータを収集するよう進めたい。また,教員としてのスタートを切った初年度を終了した教員についてのデータも収集し,リアルタイムに進行する急速な適応過程について焦点を絞ったデータの収集も行うことにしている。 分析については,これまでどおりのペースで進めるとともに,26年度の成果報告へ向け,結果のまとめを始めることも併せて行いたい。 また,25年度には関連として,海外の美術教育での状況や事例を収集することも計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画のほとんどは,インタビュー調査実施のための費用にあてられる。日本全国にわたる対象となる優れた教員を訪問するための旅費,および得られたインタビューデータの分析,特に言語データの書き起こしに必要となる人件費がこれにあたる。 また,24年度については効率的に予算が執行されたため,当初の予算額を下回る実績となった。これをさらなる研究の進展に資するため,海外での美術教育の事例収集を一度計画しており,そのための旅費が新たに計上されるものと思われる。
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Research Products
(3 results)