2014 Fiscal Year Annual Research Report
ライフヒストリーインタビューによる美術科教員の長期的な職業適応プロセスの解明
Project/Area Number |
24531149
|
Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
荷方 邦夫 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 准教授 (40347357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 信州大学, 教育学部, 准教授 (20467195)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 職業適応 / 美術科教員 / ライフヒストリー・インタビュー / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
25年度までに得られたライフヒストリー・インタビュー資料をもとに,26年度はデータの分析が実施された。美術科教員の職業適応については,教員自身が形成する職務・職業的アイデンティティの満足,そして生徒とのプロセスの中で形成される職務満足の双方が適応に大きな影響を与えることが確認された。この結果は個人・環境適合理論(Swanson & Fouad,1999,渡辺・ハー,2001など)の知見と合致するものである。また,これらのプロセスは,教員としての世代,経験年数に関わらず,共通したものであることも示唆された。 さらに,美術科教員に特有のものとしては,芸術家・作家としての活動,アイデンティティが充足していると感じられる場合,満足と適応の状況が向上することが示唆された。 これらの結果は,学会発表(荷方,2014)がなされた他,これまでの研究(荷方,2012)や共同研究者の知見(木内・島田,2012)とあわせて原著論文(荷方,2015)として発表が行われた。 この他,研究から得られた知見や,従来の美術教育における活動をあわせて,美術科教員間のでの普及・議論を目的としたシンポジウムが平成27年1月に金沢市で開かれた。シンポジウムでは,研究の発表をもとに,美術科教員がどのように職務を展開し,資質の向上につとめるか。そのためにはどのような教育活動が個人のキャリア形成や職務上の満足をもたらすかについて,ワークショップを含めた体験・議論が行われた。この結果,多くの教員が参加し,十分な反響を得られたことによって,研究の社会的普及についても一定の効果を得ることができたといえよう。
|