2012 Fiscal Year Research-status Report
対話過程に着目したアート教育のデザインの教授学習過程論的分析
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24531157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮崎 清孝 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90146316)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アート教育 / カリキュラム構成・開発 / アクションリサーチ / 対話的教授学 / 創造性の認知 / 国際情報交換:アメリカ、スウェーデン |
Research Abstract |
研究計画に従い、2012度は理論的枠組についての理論的考察の準備,および研究協力幼稚園における第1年度の教育カリキュラムの策定、実施、観察をおこなった。 教育カリキュラム策定については、これまでの一連の研究成果に基づき、まず年間テーマを設定した。「ひかり 羽 かぜ」というものである。また夏季ワークショップの招聘アーティストとして、コンテンポラリーダンスの上村なおか氏を選定、依頼した。上村氏は,2008年度にも依頼したことがあり、その際との比較により,アーティストの学習、変化を見ることができることが期待された。 実際の教育カリキュラムは2012年4月より開始された。観察は3クラスある年長児のうちの1クラスに焦点化しておこなった。上村氏は5月、7月にそれぞれ1回ずつ,各クラスと約1時間のワークショップをおこなった。夏季ワークショップ自体は8月4-6日におこなった。このいずれも、観察し、ビデオによる記録を収集した。この観察・記録にあたっては,研究代表者以外に研究協力者としての早稲田大学助手,大学院生が参加した。ワークショップの内容は、各クラスの子どもたちが発展させた想像遊びに出現したさまざまなモチーフを身体的に表現し、感じてみるというものであり,アーティストと子どもたちの間の身体的なやりとりとしての対話について、示唆的なデータを取ることができた。なお2013年2月に、上村氏、および上村氏と共にワークショップに参加したコンテンポラリーダンスの笠井瑞丈氏の2名に,ワークショップでのアーティストの学び、及びコンテンポラリーダンスの創作過程についてインタビューをおこない、データを取った。 理論的な考察準備については、対話的教授学の考え方自体を発展させると共に,それをアートの場面に適用する可能性を探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
応募時の研究計画調書の研究計画・方法に記したうちのIII、「取得データ・分析の国際比較」、IV、「データ分析に基づき、アート教育におけるバフチン的な意味での対話のあり方についての理論を構築」、V、「研究成果について逐次国内、国外学会(International Society of Cultural and Activity Research, American Educational Researchers Association 等)で発表」の三点が,予定に比べ不十分である。IIIについては、主として海外の共同研究者達の事情の変化により、予定していた海外出張による現地調査がおこなえなかった。IVについてはある程度おこなったが,予定していたうちの著作の刊行が遅れている。考察に手間取ったことが原因である。また海外共同研究者との共著論文を予定しており、現に執筆中であるが,予定していたコメンテータが個人的な事情から執筆できなくなったため、進行が遅れている。Vについては予定していた海外学会での発表がおこなえなかった。2件予定したうち1件については,当該学会自体が開催を取りやめたことが原因である。もう1件については開催時期が予定より早まり、大学の事務的な所用と重なったため断念せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の遅れのうち,III、「取得データ・分析の国際比較」については2013年度に昨年度計画分もおこなう予定である。まず5月中に,スウェーデンの共同研究者達と共に,アート教育の世界で国際的に著名であり、研究計画調書でも比較の対象としてあげたイタリアのReggio Emilia市の幼児教育システムを訪問,調査することが決まっている。また11月にはスウェーデンで,アメリカ、フィンランド等の共同研究者達と、研究テーマについての国際シンポジウムをおこない、データの交換、比較検討をおこなう予定である。 IVのうち、著作については2013年度前半での出版を予定し、めどがついている。海外共同研究者との共著論文については,コメンテータを変え、2013年度中での刊行を予定している。 Vについては、上記IIIに述べたスウェーデンでの国際シンポジウムの他に、2013年7月にカナダでの学会(Imaginative Education Research Group 2013 International Conference)に出席し発表する。すでに発表論文はアクセプトされている。また2014年1月にはニュージーランドでの学会( Conference on the Perspectives and Limits of Dialogism in Mikhail Bakhtin)に出席、発表の予定である。 これらにより、若干の遅れを見ていた研究調書のIII,IV,Vについて、遅れを回復する。なお研究調書の計画中のI,II、「年間の教育計画の策定」「その実施とデータ取得」については、予定通りおこなう。既に現時点で進行中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「現在までの達成度」に記した若干の遅れにより,2012年度の予定使用額が全額は使用できなかった。この主たる理由は上で記したように,III,Vに関わる海外出張がおこなえなかったため,旅費(外国旅費)が執行できなかったためである。「今後の研究の推進方策」でも記したように,2013年度は以下の海外出張を予定している。 まず2013年5月に、イタリア、Reggio Emilia市への、市の幼児教育施設訪問とデータ取得をおこなう。約300,000円予定している。次に、2013年7月、カナダ、バンクーバーでのImaginative Education Research Group 2013 International Conference出席、報告する。約250,000円予定している。さらに2013年11月、スウェーデン,ストックホルムでの、共同研究者達との国際シンポジウム開催する。約300,000円予定している。最後に2014年1月、 ニュージーランド,ワイカトでのConference on the Perspectives and Limits of Dialogism in Mikhail Bakhtinへの出席、報告する。約250,000円予定している。 これらの海外出張を,2012年度執行できなかった旅費、また2013年度予定している旅費でおこなう
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