2013 Fiscal Year Research-status Report
高度情報化社会に必要な国語力としての視覚的リテラシー育成・実践プラン集の開発
Project/Area Number |
24531163
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
奥泉 香 日本体育大学, その他部局等, 教授 (70409829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 達夫 日本教育大学院大学, その他の研究科, 教授 (70537399)
山元 隆春 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90210533)
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Keywords | ヴィジュアル・リテラシー / マルチモーダル / 絵本研究 / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 / オーストラリア連邦 |
Research Abstract |
前年度までに調査・検討を行った枠組みを用いて、視覚的なテクストを含む学習材の分析や発問開発といった、前年度までの研究成果を学習者に実際に役立つ形に具現化する方策の開発・提案を行った。特に国語科学習で従来から扱ってきた、「読むこと」の領域における「人物造型」の検討に焦点を当て、研究課題に即しながら絵本活用の可能性や、その具体的な分析方法、発問の開発を行った。 このことによって、文章を中心とした従来からの「人物造型」の学習を、視覚的な分析との関係で拡充する学習の枠組みを開発することができた。この開発の意義は、テクストに表現・表象されている人物像を、社会・文化的な観点から多角的に検討しやすい枠組みが整理できたこと、また学習者自身が無自覚に処理・解釈を行ってきたプロセスを顕現化して、議論・検討しやすくなったことである。価値観が多様化した多・複文化社会において、学習者がこういったテクストの分析・検討を行うことができるようになることは重要な学力の礎となる。特に視覚的なテクストに編み込まれた文化的・社会的な要素は、同種の文化や社会に属する学習者には、意識化し検討することが難しいとされている。 理論的には、言語理論との往還性を重視して選択体系機能理論を援用し、これを発展させたマルチモーダル研究の成果を採り入れ、分析の枠組みや発問づくりに応用した。このことによって、学習者に視覚的要素が社会・文化的に包含する意味や価値を検討させる枠組みを提示することができた。実際に、これらの枠組みの有効性や修正点の検討を行うため、小学校高学年から中学校の時期にある学習者に調査も行い、理論と実践の両面から考察を行った。また、従来から絵本活用の場として有効と考えられてきたリテラチャー・サークルやブッククラブにおいても、本研究の成果を活用していくことができるよう、英米の先行研究や実践の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた調査研究を全て実行し、その枠組みを基に日本の学習者に向けた修正プランを学会において発表した。またその修正枠組みの有効性を検討するため、国内の学習者に実際に調査も行うことができた。その成果の一部は、学会誌に投稿し、受理・掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、国際情報交換によって得たヴィジュアル・リテラシーやマルチモーダル研究に基づいた評価枠組みを検討し、日本の学習者や教師が参照・利用しやすい学習材とそれを活用するための評価枠組みの整理を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際情報交換によって得た資料の翻訳・整理及びネイティブ・チェックに対する謝金を予定していたが、次年度にその当該資料の提供者を招聘して、共同で学会発表が行えることになったため、その謝金額と印刷代等の資料配布に要する額を、次年度に使用するよう計画修正を行ったため。 上記理由により、本研究課題の成果を、招聘する研究者と共同で学会発表できることになったため、その発表資料作成及び印刷代、また招聘した研究者への「専門的知識の提供」に対する謝金として使用する計画である。
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Research Products
(11 results)