2014 Fiscal Year Research-status Report
中学生の読書指導における電子書籍端末利用の可能性についての実証的研究
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24531168
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
冨山 哲也 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (10413907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 直美 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (40562450)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子書籍 / 読書 / 国語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,中学生の読書指導における電子書籍端末利用の可能性について実証的に研究するものである。中学生に1ヶ月間電子書籍端末を貸与するとともに,一定額の範囲内で自由に電子書籍を購入することができるようにした場合,中学生の読書にどのような変化が見られるかを調査する。電子書籍端末貸与期間の前後で,読書の状況及び読書に関する意識調査を実施,その変化を分析する。 平成24・25年度に,3つの中学校(各1学級)において調査を実施し,平成26年度はその結果を分析した。調査対象計106人について,主に以下の結果が得られた。 ①読書冊数の変化:1ヶ月の読書冊数の合計が,事前調査(625冊)→事後調査(877冊,うち電子書籍539冊)と変化した。また,調査対象106人のうち,事前の1ヶ月より事後の1ヶ月の方が読書冊数が増えた生徒が65人いた。②読書時間の変化:調査対象106人のうち,事前の1ヶ月より事後の1ヶ月の方が平日1日当たりの読書時間が増えた生徒が53人いた。③読書についての意識の変化:「読書は好きですか。」という質問に対して「当てはまる」「どちらかと言えば,当てはまる」と肯定的に回答した生徒は,事前調査(84人)→事後調査(85人)であった。④電子書籍による読書についての意識:事後調査「電子書籍は使いやすいと思いますか。」という質問に「はい」と回答した生徒が70人いた。また,「電子書籍が手元にあるのとないのとでは,あなたの読書生活に変化がありましたか。」という質問に,「あった」と回答した生徒が69人いた。⑤読書を苦手とする生徒の変化:事前調査で「読書は好きですか。」という質問に「当てはまらない」と回答した5人について見ると,読書に対する意識,読書時間,読書冊数において,やや好転している状況が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定の調査はほぼ終了したが,以下の課題について更に調査する必要がある。 ①公共図書館等における電子書籍貸し出しの現状と課題。 ②電子書籍と紙の本による,読書内容の記憶の差異の有無。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たり,特に以下の内容について調査研究する。 ①公共図書館等における電子書籍貸し出しの現状と課題(訪問と聞き取り) ②電子書籍と紙の本による,読書内容の記憶の差異の有無(ペーパーテスト)
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Causes of Carryover |
本年度,中学校1校の調査を予定していたが,学校事情により調査協力が得られなくなった。また,これまでの研究結果から,更に以下の2点について調査する必要性が生じたため。 ①公共図書館等における電子書籍等の貸し出しの現状と課題について。 ②電子書籍と紙の本による,読書内容の記憶の差異の有無について。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以下の内容について調査研究を行う。 ①公共図書館等における電子書籍の貸し出しの現状と課題について(訪問と聞き取り)。 ②電子書籍と紙の本による,読書内容の記憶の差異の有無について(ペーパーテストの作成と実施)。
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