2012 Fiscal Year Research-status Report
《郷土の音楽教材e-ライブラリ》の活用による「地域の音楽文化遺産」伝承の試み
Project/Area Number |
24531173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐川 馨 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (40400519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 祐一 山形大学, 教育文化学部, 教授 (70199355)
渡辺 修身 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (70333945)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 音楽科教育 / 郷土の音楽 / 地域の音楽素材 |
Research Abstract |
本研究は,山形県の音楽素材を①伝統音楽的音楽素材(民謡やわらべうたなど),②西洋音楽的音楽素材(地域出身の作曲家の音楽作品),③生涯学習的音楽素材(特色ある音楽活動,音楽施設など)の三つに分類し,それらを活用した教材開発と下記の三つの実践により,地域の音楽文化遺産の伝承と時代の要請に応じた音楽科教員養成に資することを目的としている。 具体的な取り組みは次のとおりである。I:地域の音楽素材による教材開発および≪郷土の音楽教材e-ライブラリ≫の開設と運営(①学校教材用の映像資料,音源,解説,編曲教材の開発・作成,②学校現場の教員がウェッブ(Web)上から教材データの入手ができるシステムの構築,③必要に応じたレファレンス・サービスと授業実践サポートの実施)。II:≪郷土の音楽教材≫を導入した教員養成カリキュラムの構築と実践(①開発した教材を活用した学部・大学院の授業実践による教材の有効性の検証と指導法の研究,②教員養成の場からの地域の音楽文化遺産の伝承と教材の改善)。III:≪郷土の音楽教材≫を活用した教員志望学生のアウトリーチ・プログラムの開発と実践(①教員志望学生による近隣の学校および地域における鑑賞教室,解説付きコンサートの実施,②開発した教材の活用と有効性の検証改善)。 本年度は3か年11段階の研究計画のうち,第1及び第2段階として基礎資料,関連文献の収集など,ライブラリの整備を中心に取り組んだ。大きな研究実績は,米沢市出身の大沼哲(1889-1944),山形市出身の松島彜(1890-1985)という,日本の音楽史上で大きな役割を果たした二人の作曲家の資料整備が進んだことである。これらの収集資料をデータベース化することはできたので,引き続きライブラリの整備・拡充を図っていく。また,山形県内のわらべ歌を素材とした編曲教材も完成しており,次年度の市民向けコンサートで活用していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主たる取組はライブラリの整備・拡充であった。このうち,西洋音楽的音楽素材の資料整備は概ね順調に進んだが,伝統音楽的音楽素材の資料整備については十分な状況とはいえない。県内の民俗芸能等をライブラリするにあたっての整備計画を再検討する。また,学校教育で活用すること,教員養成の場でも授業教材として活用していくことを考慮し,編曲教材を開発することに主眼を置いて取り組むよう方向を修正していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ライブラリの整備・拡充を一層推進する。そのうち特に,松島彜,大沼哲関係の資料整備に重点を置いて取り組む。大沼哲,松島彜に関しては,日本の音楽史上に果たした功績が極めて大きいものがあり,コンサートで作品を取り上げることに加えて,研究論文の発表と市民向けの紹介資料を作成する。 ライブラリの周知,研究成果の公開は,ホームページを開設し発信していくとともに,所蔵資料を活用した市民向けレクチャー・コンサートを開催する。 教員養成の場における実践では,学部生の声楽,指揮法の実技授業の教材にライブラリから採り上げ,教員養成の場からの地域の音楽文化遺産の伝承を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究は,①ライブラリの整備・拡充,②ライブラリの公開,③ライブラリの教材を活用したアウトリーチ・プログラムの実施,④市民向けコンサートの開催の四つが活動の大きな柱となる。 研究費の主な用途は,③アウトリーチ・プログラムの実施に関するもの,また,④市民向けコンサート開催にあたっての会場費,広報費,印刷費,演奏者謝礼である。
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